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PMBOKとは?知識エリアとプロセスの解説

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はじめに

itoken1013です、こんにちは。今年も寒い冬がやってきましたね!
今回はプロジェクトマネジメントに携わる方であれば一度は聞いたことがあるPMBOKについて、知識エリアとプロセス群を中心に紹介していきたいと思います。
知識エリアとプロセス群への理解はプロジェクトマネージャー以外にも、プロジェクトに関わる全てのポジションの方に得られる知見があります。
ぜひこの記事からご担当のプロジェクトで活かせるPMBOK知識をゲットいただければと思います!

PMBOKとは?

まず、プロジェクトとは?

PMBOKの知識エリアとプロセスを説明する前に、まず私たちが普段当たり前のように発している「プロジェクト」とは何でしょうか?
PMBOKにおいてプロジェクトとは、以下の特徴を持つ活動を示しています。

  • 開始・終了時期が決まっており、明確な実施期間がある。(有期性
  • 過去に行った取り組みと比べて手順、作業の内容、担当者などが異なる独自性を持つ。

PMBOKが指すプロジェクトの対義語として「定常業務」が挙げられますが、定常業務は期間の定めがなく、また既存のやり方に従うことで目的を達成できる活動となります。

一方でプロジェクトと定常業務の共通点としてはQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)の制約が存在する点、そして人が業務に取り組む点、という2つの側面があります。

次に、プロジェクトマネジメントとは?

上記で述べた有機性、独自性、限られたQCDの制約がある状況下で、プロジェクト目標の達成に向けた一連のコントロールがプロジェクトマネジメントです。
これらの複数の制約を抱えながら目標を達成する過程では通常、何らかの課題が生まれます。
プロジェクト立ち上げ時には分からない不確定要素や想定外のトラブルが発生することも珍しくなく、一筋縄では達成できないプロジェクトをうまくコントロールする必要があります。

これらのコントロールを担うポジションがプロジェクトマネージャーです。
プロジェクトマネージャーがコントロールすべき要素はプロジェクトメンバーだけでなく、スコープやリスクや品質など多岐に渡ります。
また一言でコントロールといっても作業には計画や実行など、フェーズによって求められる内容は変わります。

それでは、PMBOKとは?

ここまでお伝えしたプロジェクトマネジメントで必要とされる知識や手法を体系的に整理し、標準化したフレームワークPMBOK(Project Management Body of Knowledge、ピンボック)です。
米国のPMI(Project Management Institute、プロジェクトマネジメント協会)という非営利団体によって制定された世界共通のプロジェクトマネジメントの標準フレームワークになります。
1987年に初版が制定され、2020年現在では第6版が発行されています。

PMBOKの重要性

プロジェクトには独自性があるため、PMBOKさえ理解しておけば万事OK!という状態になることはありません。
ただ過去のプロジェクトで蓄積されたナレッジが体系化されていることにより、PMBOKは困ったときのガイド役として大いに役立つでしょう。
特にこれからお伝えする10の知識エリアとプロセスを知っていると知らないでは、プロジェクトの課題に直面した時の対応力に違いが出てきます。

また個人的な経験からPMBOKの知識エリアとプロセスの考え方は、プロジェクトマネージャー以外の方にも自身の状況を俯瞰し、担当業務をセルフマネジメントする際の参考となると感じています。

このようにプロジェクトマネジメントのナレッジを世界標準で体系化している点、また細やかに10のプロセスをコントロール対象としている点PMBOKの重要な存在意義といえるでしょう。

PMPとは?

PMBOKを理解することの重要性をお伝えしてきましたが、ここでPMBOKに関連する資格であるPMP(Project Management Professional)について紹介したいと思います。
PMPPMBOKと同様、PMIによって運営されており、知識エリアとプロセスをはじめとしたプロジェクトマネジメントの知識とスキル保有を認定する資格となります。

正確な合格率が公開されているわけではありませんが、受験から資格更新までの内容を読んでいただくと、簡単に取得・維持できるものではないことが分かっていただけるはずです。

資格試験の出題内容としてはPMIが発行しているPMBOKガイドがベースとなっており、後述する立ち上げ・計画・実行・終結・監視、コントロールの5プロセス群に関する問題が出題されます。
出題割合は以下となります。

出題範囲 割合
立ち上げ 13%
計画 24%
実行 31%
終結 25%
監視・コントロール 7%

※ただしPMI公式ページでは21年以降、出題範囲がプロセスをベースとしたものではなく、人・プロセス・ビジネス環境に基づく内容へ変更されることが掲示されています。

出題範囲 割合
42%
プロセス 50%
ビジネス環境 8%

PMPの受験には前提条件があり、一定期間のプロジェクトマネジメント経験とPMIの認定研修の受講を求められます。

要件 大卒 高卒
36カ月のプロジェクトマネジメント経験を含む
4500時間(2年弱)のプロジェクトを指揮・監督する立場での実務経験
60か月のプロジェクトマネジメント経験を含む
7500時間(3年強)のプロジェクトを指揮・監督する立場での実務経験
35時間のプロジェクトマネジメント研修

また資格を取得後も、3年以内の更新が求められます。

上記の通り、高難易度の資格ではありますが、対外的に高いプロジェクトマネジメントスキルを証明することができるでしょう。
そしてよりPMBOKの知識エリアとプロセスへの理解が深まることと思います。
受験資格のある方は、ぜひトライしてみていただければと思います。

PMBOKの知識エリアとプロセス

知識エリアとプロセスの関係性

さて、ここから本題であるPMBOKの知識エリアとプロセスの説明に入っていきます。
詳細は後述していきますが、まずPMBOKの知識エリア、プロセス群、プロセスの関係性を以下に示します。
縦軸が知識エリア、横軸がプロセス群、各セルの要素がプロセスです。
以降の説明の位置づけが分からなくなった際には、こちらのマトリクスに立ち返ってみてください。

立ち上げ 計画 実行 監視・コントロール 終結
プロジェクト統合マネジメント プロジェクト憲章作成 プロジェクトマネジメント計画書作成 ・プロジェクト作業の指揮・マネジメント
・プロジェクト知識のマネジメント
・プロジェクト作業の監視・コントロール
・統合変更管理
プロジェクト・フェーズの終結
プロジェクトスコープマネジメント ・スコープ・マネジメント計画
・要求事項収集
・スコープ定義
WBS作成
・スコープ妥当性確認
・スコープ・コントロール
プロジェクトタイムマネジメント ・スケジュール・マネジメント計画
・アクティビティ定義
・アクティビティ順序設定
・アクティビティ資源見積り
・アクティビティ所要期間見積り
・スケジュール作成
スケジュール・コントロール
プロジェクトコストマネジメント ・コスト・マネジメント計画
・コスト見積り
・予算設定
コスト・コントロール
プロジェクト品質マネジメント 品質マネジメント計画 品質保証 品質コントロール
プロジェクト資源マネジメント ・資源マネジメント計画
・アクティビティ資源の見積り
・資源の獲得
・プロジェクト・チーム育成
・プロジェクト・チーム・マネジメント
資源のコントロール
プロジェクトコミュニケーションマネジメント コミュニケーション・マネジメント計画 コミュニケーション・マネジメント コミュニケーション・コントロール
プロジェクトリスクマネジメント ・リスク・マネジメント計画
・リスク特定
・定性的リスク分析
定量的リスク分析
・リスク対応計画
リスク対応策の実行 リスクコントロール
プロジェクト調達マネジメント 調達マネジメント計画 調達実行 調達コントロール
プロジェクトステークホルダーマネジメント ステークホルダー特定 ステークホルダー・マネジメント計画 ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント ステークホルダー・エンゲージメント・コントロール

プロセス群、プロセス

プロセス群

まずはプロセス群(上記マトリクスの横軸)です。
※正式にはプロジェクトマネジメント・プロセス群と呼びます。

PMBOKにはプロジェクトのライフサイクルと作業の位置づけによって、以下の5つのプロセス群を定義しています。
後述する知識エリアとのかけ合わせによって、どのプロセス群でどんな知識や作業が要求されるのかを考えることができます。

  • 立ち上げ
  • 計画
    • プロジェクト目標を達成するための計画を作成します。
  • 実行
    • 計画に従ってリソースを調達し、プロジェクト作業を実行します。
  • 監視・コントロール
    • 計画と実態の差異を継続的にチェックし、差異がある場合には解消を図ります。
  • 終結
    • プロジェクトの成果物を受け入れ、プロジェクトを公式に終了します。
    • プロジェクトを通して得られたノウハウを、次回のプロジェクトに向けて蓄積します。

プロセス

上記のプロセス群には、円滑なプロジェクトマネジメントのために実行すべきアクティビティとして「プロジェクトマネジメント・プロセス」が定義されています。
20年時点の最新であるPMBOK第6版においては、プロセスは全49種類です。
例えばプロジェクト・スコープ・マネジメント知識エリアに属する「スコープ定義」プロセスであれば、プロジェクトで作成する成果物や品質基準を取り纏め、スコープ記述書に定義します。

全てのプロセスの詳細は今回は説明外とさせていただきますが、上記マトリクスの通り、上記の知識エリアとプロセス群のどこかに属する形となります。
ただし全てのプロセスを必ず実行しなければいけないわけではなく、マネジメント対象となるプロジェクトの特性に応じて必要なプロセスを取捨選択する視点が必要です。

10の知識エリア

次は知識エリア(上記マトリクスの縦軸)に関する説明です。
PMBOKではプロジェクトマネジメントを行う上で必要となる要素を、10種類の知識エリアにまとめています。
10種類の内訳はQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)の3点に加え、目標達成に至るまでの6種類のコントロール対象、そしてプロジェクト全体を統合的に管理する「統合管理」となります。
ここから10種類の知識エリアと合わせ、それぞれに対応するプロセスを紹介していきます。

プロジェクト統合マネジメント

以降9種類の知識エリアで定義された各プロセスを統合する知識エリアです。
プロセスはプロジェクトマネジメント全体の枠組みに関わるものであり、全てのプロセス群で定義されています。

プロセス群 プロセス
立ち上げ プロジェクト憲章作成
計画 プロジェクトマネジメント計画書作成
実行 ・プロジェクト作業の指揮・マネジメント
・プロジェクト知識のマネジメント
監視・コントロール ・プロジェクト作業の監視・コントロール
・統合変更管理
終結 プロジェクト・フェーズの終結

プロジェクト・スコープ・マネジメント

プロジェクトで必要な作業内容、作業範囲を明確にするための知識エリアです。
プロダクト・スコープ(成果物の性質、機能)とプロジェクト・スコープ(必要な作業)の2観点におけるプロセスが定義されています。

プロセス群 プロセス
計画 ・スコープ・マネジメント計画
・要求事項収集
・スコープ定義
WBS作成
監視・コントロール ・スコープ妥当性確認
・スコープ・コントロール

プロジェクト・タイム・マネジメント

プロジェクトをスケジュール内に完了させるための計画やコントロールなどのプロセスを定義した知識エリアです。

プロセス群 プロセス
計画 ・スケジュール・マネジメント計画
・アクティビティ定義
・アクティビティ順序設定
・アクティビティ資源見積り
・アクティビティ所要期間見積り
・スケジュール作成
監視・コントロール スケジュール・コントロール

プロジェクト・コスト・マネジメント

プロジェクトにかかるコストを計画し、予算内でプロジェクトを完了させるための知識エリアです。
4つのプロセスが定義されています。

プロセス群 プロセス
計画 ・コスト・マネジメント計画
・コスト見積り
・予算設定
監視・コントロール コスト・コントロール

プロジェクト・品質・マネジメント

プロジェクトの成果物とその作成プロセスの品質をマネジメントするための知識エリアです。
品質要求を定める、要求を実現するための方法を定める、等の3つのプロセスが定義されています。

プロセス群 プロセス
計画 品質マネジメント計画
実行 品質保証
監視・コントロール 品質コントロール

プロジェクト・資源・マネジメント

プロジェクトを円滑に遂行するために、ヒトやモノの資源を適材適所に配置してマネジメントするための知識エリアです。
PMBOK第6版より知識エリアの名称が「人的資源」から「資源」へと変更されました。

プロセス群 プロセス
計画 ・資源マネジメント計画
・アクティビティ資源の見積り
実行 ・資源の獲得
・プロジェクト・チーム育成
・プロジェクト・チーム・マネジメント
監視・コントロール 資源のコントロール

プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント

この知識エリアではメンバー、クライアント、その他ステークホルダー間のコミュニケーションを円滑に行い、縦横の情報連携をマネジメントするためのプロセスが定められています。
プロジェクトで発生する情報の収集、共有などのチャネルを作成し、ステークホルダー間のコミュニケーション上の問題点を解消するための知識エリアです。

プロセス群 プロセス
計画 コミュニケーション・マネジメント計画
実行 コミュニケーション・マネジメント
監視・コントロール コミュニケーション・コントロール

プロジェクト・リスク・マネジメント

発生するとプロジェクト進行に影響を及ぼす不確実性を特定し、必要な対応策(回避・転嫁・軽減・受容)を講じるための知識エリアです。
リスクにはポジティブな好機・ネガティブな脅威の両方が考えられますが、出来る限り脅威を排除しつつ、好機を最大化することが求められます。

プロセス群 プロセス
計画 ・リスク・マネジメント計画
・リスク特定
・定性的リスク分析
定量的リスク分析
・リスク対応計画
実行 リスク対応策の実行
監視・コントロール リスクコントロール

プロジェクト・調達・マネジメント

プロジェクトの成果物を内製ではなく、外部に依頼や調達をして作成する際のマネジメントを行うためのプロセスを定義している知識エリアです。
3種類のプロセスの中で取り扱うのは発注先の選定、RFP(Request for Proposal)の作成、進捗管理など、内容は多岐に渡ります。

プロセス群 プロセス
計画 調達マネジメント計画
実行 調達実行
監視・コントロール 調達コントロール

プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント

プロジェクトのステークホルダー(利害関係者)との関係構築を行い、プロジェクト目標の達成に向けてポジティブな効果を促進するためのマネジメントを定めた知識エリアです。
第5版から新たに追加されました。 ステークホルダーを特定し、各人の期待値を調整するためのプロセスが定められています。

プロセス群 プロセス
立ち上げ ステークホルダー特定
計画 ステークホルダー・マネジメント計画
実行 ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント
監視・コントロール ステークホルダー・エンゲージメント・コントロール

PMBOKを活用していく際の注意点

ここまで紹介しましたPMBOKの5つのプロセス群と10の知識エリアを理解することで、経験の浅いプロジェクトマネージャーでも「基本の型」をもってプロジェクトマネジメントを行うことが可能となるでしょう。
企業でもPMBOKをベースとした教育を行うことで、一定の知識を備えたマネジメント人材を輩出できるはずです。

しかしながら冒頭でもお伝えした通り、プロジェクトとは過去の事例にはない独自性を備えた取り組みです。
プロジェクトの性質や外部環境の変化によって、PMBOKの知識だけでは対応しきれないイレギュラーな事態が発生することは考えられます。
基本の型を超えたより応用的な対応力が求められることもあるでしょう。 あらゆる事態に臨機応変に対応するにはPMBOKのみならず、場数を踏んで経験することでしか得られない判断力や、個人の人間力が必要であることは念頭に置いておくべきと考えます。

おわりに

今回は知識エリアとプロセスの紹介を中心に、PMBOKの基礎知識を説明してまいりました!
PMBOKの体系化されたプロジェクトマネジメントの知識は、プロジェクトの規模に関わらず恩恵を感じられるシーンがあるはずです。
本記事の内容が多くのプロジェクトのお役に立てますと嬉しいです。 それでは!

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