
こんにちは、ラクスでバックエンドエンジニアをしている斉田真也(GitHub: shinya / X: @saita_shinya)と申します。業務のかたわら、Markdownエディタ Bokuchi を個人で開発していて、仕事でも個人開発でも、いまやClaude Codeはすっかり相棒になっています。
先日大阪の梅田で開催された Claude Code Meetup Osaka に参加し、LT枠でも登壇してきました。AIは失敗する。でもその失敗を"使い捨て"にせず記録して次に読ませれば、二度目から同じつまずきを繰り返しにくくなる ── 私が登壇で話したのは、そんな「Claude Codeの育て方」でした。 この記事では当日の様子と学びを、この会ならではの空気感とあわせてレポートします。
TL;DR
- 大阪・梅田で開催された Claude Code Meetup Osaka に参加し、LT枠でも登壇してきました。
- このMeetupは「技術そのもの」より 「業務の困りごとをClaude Codeでどう解いたか」 という一段上のレイヤーの話が中心。並列エージェント・YouTube運営・資料作成など、活用の幅広さに驚かされました。
- 私のLTは 「失敗を資産に変えるClaude Code」 ── 却下・失敗をログに残してナレッジ化し、
CLAUDE.mdのルールだけで"育てる"運用の紹介です。 - 参加者の層が幅広く、いわゆる技術勉強会より開かれた雰囲気だったのも印象的でした。
目次
- TL;DR
- 目次
- 結論:ここは「技術の話」より「仕事の困りごとと解き方」の会だった
- イベント概要
- 登壇:失敗を資産に変えるClaude Code
- 勉強になった他の登壇
- 懇親会:「普段AIをみんな、どう使ってるか?」
- 所感:一段上のレイヤーの話と、参加者層
- まとめ
結論:ここは「技術の話」より「仕事の困りごとと解き方」の会だった
普段、言語やフレームワークの勉強会に行くと、どうしても話題は技術そのものに寄りがちです(それはそうですね)。ですがこのMeetupは、「自分の業務でこんな困りごとがあって、それをClaude Codeでこう解決した」という、一段レイヤーの高い話が中心でした。
コーディングにとどまらず、マネジメント・広報・YouTube運営まで、活用の幅の広さに驚かされた一日でした。
イベント概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名 | Claude Code Meetup Osaka |
| 日時 | 2026年6月17日(火)19:00〜21:00 |
| 会場 | Blooming Camp by さくらインターネット(グラングリーン大阪 JAM BASE 3F) |
| 主催 | AI Agent User グループ(AIAU) |
| イベントの流れ | 最初にLTの発表→懇親会で交流 |
余談ですが、会場の場所が最初全然分からず、梅田のグラングリーンをしばらくさまよってからなんとかたどり着きました・・・。新しくできた街の区画は、慣れるまで迷子になりがちですね。同じ会場を目指す方はお気をつけて。
登壇:失敗を資産に変えるClaude Code
私はLTの2番手として 「失敗を資産に変えるClaude Code」 というタイトルで登壇しました。せっかくなので、少しだけ中身を紹介します。
登壇資料
この資料で言いたかったことは全然シンプルな話で、「AIは失敗する。でも失敗を記録して次に読ませる仕組みがあれば、二度目から同じ失敗を繰り返しにくくなる」 というものです。ここで大事なのは、モデル自体が賢く再学習するわけではないという点です。やっているのは、失敗の理由を外部ファイル(ナレッジ)に残しておき、次の提案の前に毎回それを読み込ませるという運用の工夫にすぎません。しかもこれを、コードを一切書かずに CLAUDE.md に書いたルールだけで回しています。
仕組みは大きく5ステップのループです。
- 自分による依頼をClaudeが受けたら
request_logに記録する - 自分の反応(「ありがとう」「ちょっと違う」など)から採用/微妙/却下を検知する
- それを点数(1.0 / 0.5 / 0.0)として
evaluation_logに記録する - 却下・微妙がついたら、その理由をカテゴリ別のナレッジに1行抽出する
- 次の提案の前に必ずそのナレッジを読み込む(さらに毎朝GitHubへ自動push)
ポイントは、評価のために特別な操作は何もしないことです。普段どおり会話しているだけで、その裏で点数がつき、失敗の理由が蓄積されていきます。
3ヶ月ほど運用して、こんな感じの結果になりました。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| 依頼ログ | 約240件 ※ |
| 評価ログ | 122件 |
| ナレッジ(カテゴリ数) | 8カテゴリ |
| うち却下 | 12回(約1割) |
※ 実際のやり取りの回数ではなく、「依頼した仕事」の単位だと思ってください。
却下は12回(約1割)と数としては少ないのですが、この12回こそが一番の財産になります。
大きな知見となった失敗の例
この仕組みを使い始めてから、いちばんヒヤリとしたのが、勝手にcommit & pushまで進んでしまった件です。作業が一段階済んだ時点で勝手にコミットをして、そのままpushまでClaudeが完遂してしまってました。 別にコード的に問題はなかったので、結果的には大事に至りませんでした。
人間なら「この状態で確定していいかな?」と一度立ち止まって確認する場面です。自分がするときでもそうします。「未確定の情報が現れた時点で相談すべき」という却下は、いま読み返しても一番の教訓になっているなと思います。ただ、その影響で自分が使っているClaudeはなにか作業が終わるたびに「次はあなたが確認する版です。私はコミットはしません」と毎回くどいように言ってきます(笑)
その他の失敗例
他にも、以下のような失敗がありました。
- 頼んでいないのに先に進む ── 「原因は?」と聞いただけなのに、修正コードまで書いてしまった。依頼スコープの越権で却下。
- 不十分な数字で判断を誤らせかけた ── リポジトリ内で増大するライブラリのサイズを圧縮後の3.1MBだけとClaudeが伝えてきたが、実際は展開後8.2MB。この差が許容できず見送りに。
こうした却下を「その場で直して終わり」にせず、理由をナレッジに1行残して次から回避する。失敗が使い捨てから資産に変わる、という話でした。
こうした運用ルールも、失敗ログも、ラクスの業務の中で蓄積されていったノウハウのおかげでもあります。人が失敗したことを繰り返さないようにする仕組みを、AIにも適用したイメージですね。
冒頭で触れた自作の Bokuchi(OSSのMarkdownエディター)の開発を通じてClaude Codeを酷使する中で溜まっていったものも中にはあります。ちなみに、この発表したスライド自体もBokuchiで書いています。個人でこういうツールを作って回せるのも、日々AIに助けられている延長線上にあるなと感じますね。
勉強になった他の登壇
手塩にかけりゃいいってもんじゃない ── Claude Code 並列エージェント4つの"面倒の見方"(ming さん)
Claude Codeで複数のエージェントを同時に起動して処理を任せるときの実践的なTips集でした。 「並列にすればいいってものじゃない、面倒の見方がある」というタイトルどおり、どこで手綱を握り、どこを任せるかの勘所が、ご本人の経験値とセットで語られていて説得力抜群!これまで基本シングルエージェントで使ってきた自分にとっては、まさに次に試すべき具体的な引き出しが一気に増えた時間となりました。 まさに参加してよかったの一言。
Claude Code と回す、YouTube運営のPDCA(masaya_nishigaki さん)
驚いたのは、コマンド一発でエージェントのオーケストレーションが始まる仕組みでした。 ご自身で運営するYouTubeチャンネルの登録者数を増やすため、目標管理などのマネジメント業務にAIを組み込んでおられて、まるで優秀な秘書に段取りを任せているかのよう。コーディング以外の「運営」領域でここまで回せるのか、というのが一番の発見でした。
「コーディングだけじゃない」Claude Code活用術(おってぃ さん)
エンジニアというよりマネジメント側の視点から、仕様書や各種資料の作成にAIを活用するノウハウを語られていました。すでにお気づきの方もたくさんおられるとは思いますが、「AIはコードを書く道具」という先入観を、良い意味で外してくれる内容です。開発の現場だけでなくドキュメント業務にも自然にAIが溶け込んでいくのだと、活用の裾野の広さを実感しました。
懇親会:「普段AIをみんな、どう使ってるか?」
LTのあとは懇親会へ。参加されていたエンジニアの方々と交流しながら、自作のBokuchiを紹介したり、みなさんが普段どんな仕事でどうAIを活用しているかを聞いて回りました。
多くは私たちと同じく開発業務での活用でしたが、中には親子で参加されている方もいて、日常の中でのちょっとしたツール開発に役立てているという話も聞けました。用途の広がりを実感します。
所感:一段上のレイヤーの話と、参加者層
冒頭で書いたとおり、業務の困りごとベースの話が中心のイベントでした。 その影響もあってか、参加者の層がとても幅広かったのも印象的です。女性の参加者も多く、エンジニア以外の職種の方や、前述の親子連れの方まで、いわゆる「技術勉強会」のイメージより開かれた雰囲気でした。
会場のBlooming Campは、さくらインターネットさんが運営するコミュニケーションハブのようなイベントスペースで、今回のような勉強会以外にも様々な使われ方ができそうな、可能性を感じる場所でした。
ちなみに、次回の開催が7/10にあるのですが、これにもまた参加(LTも登壇!)してきます。
余談
最後に、この日いちばん予想外だった話をするのですが、私はカードマジック(手品)がとても好きなのですが、会場を提供してくださったさくらインターネットのエンジニアの方の前職が、なんと手品関係の会社だったそうで。「その業界からエンジニアへの転職ってあるんだ」と、思わぬところで人の経歴の面白さに触れた一日でした。
まとめ
自分が普段よく参加してる技術一辺倒の勉強会ではなく、「AIをどう仕事の相棒にするか」を各人の実体験ベースで持ち寄る、学びの多いMeetupでした。 並列エージェント、運営へのAI活用、資料作成・・・持ち帰った宿題も色々ありました。運営のみなさま、登壇者のみなさま、会場を提供してくださったさくらインターネットの方々、ありがとうございました。
今回LTで話した「失敗をナレッジに残して育てる」やり方は、もともと自分の業務の中で試行錯誤して形にしたものです。ラクスは複数のプロダクトを抱えていて、チームごとにAIの使いどころも工夫の仕方も違います。そういう各自の工夫を持ち寄って共有できる余地があるのは、個人的に面白がっているところです。こうした社外の学びも持ち帰りつつ、「AIを相棒として育てる」ことを一緒に面白がれる方と、どこかの勉強会でお会いできたら嬉しいです。