id:radiocat です。中学のとき美術の先生に美術科への進学を勧められたことがありますが、それ以降は描いた絵を褒められたことがありません(後述)。
アジャイルな開発チーム以外でも近年は「ふりかえり」を行っているチームは多いのではないでしょうか? 従来型の開発プロセスでは「反省会」とも呼ばれますが、これまでやってきた事を振り返って未来に向けた改善アクションを見つけるという点ではどちらも同じです。そして、そのような改善に向けて振り返る会議の前にまず行うのが「チェックイン」です。
チェックインとは?
ふりかえりの「場を設定する」アクティビティの1つで、『アジャイルレトロスペクティブズ』という書籍で紹介されています。
目的
この書籍の中で、チェックインの目的は以下のように説明されています。
余計なことを考えずに、レトロスペクティブに集中してもらう。レトロスペクティブから何を得たいのかを明確にしてもらう。
ふりかえりの場に意識を集中してもらい、チームでどういう議論がしたいのかを発信して参加者の目線を合わせるための作業なのです。
やりかた
- 簡単な質問を1つする
- メンバーは順番に質問に答える
たったこれだけです。例えば、ふりかえりのファシリテーターが「今の気持ちを一言で答えてください」という質問をして、メンバーが「嬉しい」とか「悲しい」などと順番に答えます。
「場を設定する」ということ
チェックインのように「場を設定する」ことについて『アジャイルレトロスペクティブズ』の中で次のように説明されています。
部屋にいる全員に口を開いてもらう。最初に喋らなかったら、ずっと何も喋らなくてもいいという暗黙の了解を得たと思ってしまう。レトロスペクティブの肝はグループで考え、一緒に学んでいくことなので、全員参加が不可欠である。
たった一言ですが、質問に答えてもらうだけで全員に参加意識を持ってもらえます。また、答えた内容によってその人がどういう気持ちで会議に臨んでいるのかを知ることができます。例えば「嬉しいと感じているのは自分だけかもしれない」と思うと発言がしにくいかもしれませんが、全員の気持ちを知っていればそのような不安が減って発言のハードルが下がります。
つまり全員が一言ずつ喋ることで、その人自身の発言のハードルを下げるとともに、周りのメンバーの発言のハードルを下げることにも繋がるのです。
場を設定するアクティビティ
このような場を設定するアクティビティには様々なやりかたがあります。我々のチームでもいくつか実践してみたので、それらの一部を紹介します。
One Word
今の気持ちを一言で表現してもらいます。実際にやってみた結果は次のような回答でした。
一言では言い表わせれなかったメンバーもいますが、そういう気持ちなんだなと受け止めます。逆に一言だと意図がわからないものもあります。例えば「早い」は開発スピードのことなのか、作った機能のことなのかわかりません。ふりかえりの目線を合わせるためにも、必要に応じてどういう意味なのか聞いてみても良いでしょう。ただし、まだ場を設定するタイミングなので議論に発展するようならいったん止めてあとで議論するようにします。
漢字1文字
今の気持ちを漢字1文字で表現してもらいます。このケースでは順番に回答していくうちに、他のメンバーと被らないようにと、色々考えて回答するようになって後半のメンバーが苦戦するというせめぎ合いも起こりました。
自分の気持ちに適した漢字を選ぼうとすると意外と難しく、色々考えることでふりかえりに向けて集中できる効果もあります。One Wordと同じで意図がわからない漢字の場合はなぜその漢字なのか聞いてみても良いでしょう。
Happiness Rader
今の気持ちを顔文字で表現してもらいます。この時はどんな顔かを聞いてファシリテーターがホワイトボードに書きました。
参加者に自分で書いてもらっても良いですが、「どんな顔ですか?」と聞くことでどんな気持ちなのかがわかります。ただ、言葉で表現された気持ちを絵で表さなければならないので、ファシリテーターの絵心も場の設定に影響しそうです…
絵の得意なメンバーが見かねて代わりに書いてくれました。絵心がある人が描くほうが、参加者も今の気持ちを言葉で表現しやすいかもしれません…
3 dots
今の気持ちを3段階のドットで表現してもらいます。短時間かつシンプルに表現できるのが最大のメリットです。
顔文字と違って最速で表現できますが、なんとなく物足りなさはあります。3種類しかないので複雑な気持ちを表すことはできません。チームが複雑な課題をたくさん抱えているような場合は、みんな1ドットという回答でそれぞれが抱えている気持ちの違いはわからないという結果になる可能性があります。
Good & News
良かったことと新しい気づきを共有してもらいます。
前向きな意見を集めるような場の設定に有効です。ふりかえりで課題がたくさん出ることが予想される場合にあえて最初に前向きな意見を求めてみるという使い方もあります。気付きの共有はやや時間が長くなりがちなので時間が少ない場合には向いていないかもしれません。
希望と懸念
ふりかえりに対する希望と懸念事項を共有してもらいます。
参加者それぞれがふりかえりをどういう場にしたいかが比較的わかりやすく表現されます。ただ、これも少し時間がかかるアクティビティです。
以降は我々のチームではまだ試したことはありませんが、書籍等で紹介されているものです。
DPA(Design the Partnership Alliance)
決め事を作ります(どんな雰囲気で話すかなど)。
事前にその場の雰囲気をどうするかを参加者で話し合って決めるので、スムーズに議論に入れそうです。
Keep+Wakattakoto
良かったことと分かったことを共有してもらいます。
Good & Newsと似ていますが、KPTのKをより意識した場の設定ができるかもしれません。
連想ゲーム
起きたことを一言づつ隣の人に連想ゲームします。
漢字1文字と同じで、考えることで意識を集中することができそうです。また、ゲーム感覚で場を和ませる効果もありそうです。
おわりに
我々のチームでは、これらのアクティビティの中から1つを参加したメンバーに選択してもらっています。参加者が主体的に考えたり選択してもらうことで、ふりかえりの場が設定されます。
このような場を設定するアクティビティはふりかえりだけのための手法ではありません。議論に集中するために参加者同士で意識合わせをすることが目的なので、ふりかえり以外の会議でも活用できる場面はあります。
会議の場で次のような課題を感じたことはないでしょうか?
- 発言する人が少ない
- 自由な意見が出てこない
- いつも同じ人の意見でチームの方針が決まる
もし、このような課題を感じたら「場を設定する」ことからはじめてみると良いかもしれません。
参考
ふりかえりワークショップ~実践&実践~ - Speaker Deck
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