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【非エンジニア向け】 IPv4とIPv6についてまとめてみた

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こんにちは。株式会社ラクスで先行技術検証や非エンジニアの方向けへの勉強会を実施している技術推進課のt_okkanです。 今回は非エンジニアの方向けの勉強会で、IPv4IPv6についてまとめる機会があったため記事にしました。 エンジニアでない方でも理解できるようにまとめましたので、IPアドレス枯渇問題を調べる際の事前知識としてもらえればと思います。

IPとは

IPとは、Internet Protocolの略でコンピュータとコンピュータを繋ぐための通信規格の1つです。 複数のネットワークを相互に接続して、データを中継・伝達しながら1つの巨大なネットワーク「インターネット」を構成する役割を担っています。

IPによって接続されたインターネットでは、個々のネットワークとコンピュータを識別するためにIPアドレスを割り当て、送信先と送信元を指定して通信を行っています。

IPv4とネットワーク

IPアドレスとは、インターネットに接続されたコンピュータ1台ごとへ割り振られる番号で、コンピュータのインターネット上での住所のようなものです。 そのため、ネットワーク上に接続されているコンピュータのIPアドレスは基本的に重複することはありません。 コンピュータがインターネット上でデータの送受信を行う場合、このIPアドレスを用いてデータの送信先と送信元を指定して通信を行っています。 このIPアドレスにはバージョン4とバージョン6が存在し、現在広く使用されているのがバージョン4のIPv4になります。

IPv4IPアドレスは2進数の32桁で8桁ごとの4つに区切られており、それぞれ10進数にした形で表現されています。

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2進数の1桁は0と1の2通りで、8桁の場合は256通りを表現できます。IPv4アドレスはその8桁の数字を4つ組み合わせているため、約43億通り表現できます。 よってIPv4アドレスは約43億台のコンピュータを識別できます。

IPv4アドレス枯渇問題

IPv4アドレスを使用すると、約43億個のコンピュータを識別できます。しかし、2020年の世界の人口は約77億人と言われており、一人がPCとスマートフォンなどの複数のコンピュータを所持する世の中になっています。IPv4アドレスでは、43億個以上のコンピュータにIPアドレスを割り当てることができなくなってしまいます。このように、インターネットに接続するコンピュータに割り振るIPv4アドレスがなくなることを、IPv4アドレス枯渇問題と呼んでいます。

実際に、2019年に欧州地域でIPアドレスを管理しているRIPE NCCIPv4アドレスが完全に枯渇したと報告しています。1また、日本を含むアジア太平洋地域のIPアドレスを管理している組織であるAPNICは、2021年にIPv4アドレスが完全に枯渇するのではないかと予想しています。2

この問題を解決するための対策として、IPv4を利用して対策を行う延命策と、別の仕組みを利用して解決を行う恒久的な対策があります。延命策としてはNATを利用した対策などが、恒久的な対策としてIPv6への移行が主な対策として挙げられます。

NATを使用した対策

IPv4アドレスの枯渇問題に対するIPv4を利用した延命策の一つとして、NATを利用した対応があります。 NATの説明の前に、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの説明をします。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス

グローバルIPアドレスとは、インターネットに接続しているコンピュータに割り当てられるIPアドレスで、これまで扱ってきたIPアドレスを指します。 一方のプライベートIPアドレスは、企業のネットワークや家庭用のネットワーク内で使用されるIPアドレスです。インターネット上では使用できず、同じネットワーク内でのみ使用できるIPアドレスになります。プライベートIPアドレスは、同じIPアドレスでもネットワークが異なる場合は重複してもよいです。

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IPv4アドレスの枯渇が懸念されすべてのコンピュータにIPv4アドレスを割り当てできなくなるため、ルータや公開サーバーなどインターネットに直接接続するコンピュータにのみグローバルIPアドレスを割り当て、ルータ内の閉じられたネットワークに接続されているコンピュータにはプライベートIPアドレスを割り当てるようにしています。こうすることでIPv4アドレスを効率的に使用できます。

ではどのようにして、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを結び付けているのでしょうか。このIPアドレスの変換を行うのがNATです。

NAT

NAT(Network Adress Translation)とは、グローバルIPアドレスをプライベートIPアドレスに、またはその逆の変換を行う技術のことです。最近はIPアドレスとポート番号を組み合わせたNAPT(Network Address and Port Translation)が主流になっています。主にルーターにこのNATの機能が組み込まれています。この技術を利用することで、プライベートIPアドレスが割り当てられた複数のコンピュータを1つのグローバルIPアドレスで管理できます。

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このように、一つのIPv4アドレスで複数のコンピュータを効率的に管理できグローバルIPアドレスを節約できるため、IPv4の延命策としてNATが利用されています。

IPv4アドレスの確保

もう一つのIPv4アドレス枯渇問題の対策として、未使用のIPv4アドレスの確保が挙げられます。 IPv4アドレスが枯渇する前にプロバイダーから事前に未使用のIPv4アドレスを割り当てを受けて確保しておくことや、未使用のIPv4アドレスを保有している企業や組織からIPアドレスを購入して確保することが挙げられます。 しかし、2014年以降からIPv4アドレスの消費ペースは上がっており最終的にはIPv4アドレス数の限界があるため、時間が進むにつれIPv4アドレスの確保が困難になります。

IPv6への移行

IPv4アドレスの枯渇を背景に恒久的な対応策として開発されたのが、IPv6です。 IPv4は2進数の32桁で表現されましたが、IPv6は2進数の128桁で16桁ごとに区切り表現できます。また、それぞれ16進数にした形で表現されます。

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2進数で16桁の場合は65536通りを表現できます。IPv6アドレスはその16桁を8つ組み合わせているため、約340潤個のIPアドレスを管理できます。1潤は1兆の3乗ですのでほぼ無限であることがわかります。 そのため、全世界のコンピュータに対してIPアドレスを割り当てることができ、NATを介さずに直接コンピュータ同士で通信を行えるようになります。

IPv4アドレスからIPv6アドレスへ移行することで、IPv4アドレス枯渇問題を根本的に解決することができます。

IPv6への移行の現状

IPv4アドレスの恒久的な対策であるIPv6への移行ですが、現状はIPv6が普及しているとは言い難い状況です。3 IPv6へ移行するメリットとデメリットを紹介し、IPv6が普及しない原因を考察していきます。

IPv6へ移行するメリット

サービスを提供する企業において、IPv4アドレスの枯渇問題の制限を受けることなく、サービスの拡大や新規サービスの展開を行うことが挙げられます。4

IPv4アドレスが枯渇することで、新たにサービスを拡大する際に必要なネットワーク機器やサーバーにIPアドレスを割り当てることが困難になります。 また今後はIPv4アドレスの市場価値が高まり値段が高騰する可能性もあり、サービスを拡大するために莫大なコストを投下する必要があるかもしれません。5

IPv6に移行することで、ほぼ無限にIPアドレスを付与することができるため、このような制限を気にすることなくサービスの拡大を行うことができます。 逆にIPv6への対応が遅れるとIPv4アドレスの制限を受け、サービスの拡大や新サービスの展開ができなくなる可能性もあります。

IPv6へ移行するデメリット

IPv6へ移行することのデメリットとして、IPv4との互換性がないことが挙げられます。

IPv4IPv6は同じIPというプロトコルであっても互換性がなく、IPv4アドレスのコンピュータとIPv6アドレスのコンピュータは直接通信することができません。 そのためIPv4からIPv6へ移行するために、IPv6に対応したルータやソフトウェアの開発・導入するコストが必要になります。6

また、IPv4IPv6の通信のどちらにも対応する必要があることも挙げられます。今後もIPv4を利用し続けるサービスやユーザーが存在することになります。IPv4のインターネットとIPv6のインターネットが同時に存在することになり、IPv4の通信とIPv6の通信のどちらにも対応する必要があります。 デュアルスタックやトンネリングなどIPv4IPv6を共存させる技術があるため、そのための機器の導入や環境を構築するコストが必要になります。

IPv6が普及していない理由

IPv4アドレスの枯渇を解消するために開発されたIPv6ですが、今だに主流となっているのはIPv4になっており、IPv6が普及しているとは言い難い状況です。 Googleが「IPv6の採用状況」という統計で、IPv6アドレスを利用してGoogleサービスにアクセスしているユーザーの割合のデータを公開しています。7この統計によると、IPv6アドレスを利用している全世界のユーザーの割合は約35%で、日本国内のユーザーの割合は約40%となっています。

IPv6が普及していない理由としては、以下の記事でも紹介されているようにこのような理由が考えられます。

cloud.watch.impress.co.jp

  • 対応、運用コストがかかる

    IPv6のデメリットでも紹介した、IPv4からIPv6へ移行するためのコストや、IPv4IPv6の通信を共存するための運用コストが高いことが原因で、IPv6の普及が進んでいないと考えられます。

  • 新たな利益を獲得できる訳ではなく、優先度が低い

    またIPv4IPv6を共存させる技術があり、今後もIPv4を利用できます。IPv6に移行しても、新たなユーザーを獲得したり新たな利益を得ることができる訳ではないため、優先度が低く対応が遅れていると考えられます。

また総務省IPv6についての調査結果によると、データセンター事業者とコンテンツ事業者でIPv6への移行を検討していない理由として「自社だけで検討しても意味がない」ことや、「同業他社の動向を見てから検討する」ことが挙げれれています。8 IPv6に移行する必要性はあるものの、移行にかかるコストを回収できるわけでもないため、他の誰か(他社)がIPv6に移行するのを待っている状態なのかもしれません。

まとめ

IPアドレスのバージョンであるIPv4IPv6と、IPv6への移行について、簡単に説明してきました。 サービスを提供する企業にとって、IPv6に移行しても新たに利益がでない可能性があるものの、移行しないとサービスの拡大の障壁になるかもしれません。 IPv4枯渇問題やIPv6対応についての記事を見る前の、事前知識としてもらえたらと思います。

参考

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