こんにちは、モバイル開発チームのhyoshです。
弊社では各分野の特定のテーマに沿ってエンジニアが議論する「TechCafe」というイベントを定期開催しています。
そして先日私を含めた弊社モバイル開発チームが2度目となる「モバイルTechCafe」を開催しました!
今回のイベントでは「Google I/O 2024とWWDC24で気になったセッション」について語り合いました。
弊社のメンバーが事前にまとめてきた情報にしたがって、他の参加者に意見を頂いて語り合いながら学びました。
今回はその内容についてレポートします。
Google I/O 2024
公式ページ:Google I/O 2024
開催期間:2024/5/14 (現地時間)
Google I/OはGoogleが毎年開催する開発者向けの大規模カンファレンスです。
モバイルエンジニアにとってはAndroidやFlutter開発における最新情報が入手できる場となっています。
本年度はやはりAI活用といったところが目玉になると見込まれていましたが果たして結果は…?
デベロッパー基調講演
io.google
セッション概要
基調講演ということもあり開発者ツール、Android、Flutter、Firebaseと幅広く開発者向けの新情報が発表されました。
注目されていたAI関連ではGemini 1.5 Flashの提供開始、GeminiAPI開発者コンペティション開催、Gemini NanoがPixel8 Proから搭載などやはり多くの時間を割いて紹介がされていました。
メンバーの感想
- Gemini Nanoは通信介さないので低遅延・セキュアなアプリ実装が可能。Chromeにも搭載されるのでコスト低く拡張機能開発なども取り組むことができそう。
- 遂にGoogleがKotlin Multiplatform(KMP)を公式サポート。Room等のライブラリもKMP対応されたし、今後も充実してくれれば移行もしやすく採用ハードルも下がりそう。
- クラウド開発環境のProject IDXがBeta版として公開。CodeOSSベースなのでVSCodeでFlutter開発している人には選択肢になるかも。環境構築不要なので勉強会とかにもよさそう。
Android 開発ツールの新機能
io.google
セッション概要
恒例の最新版Android Studioの紹介ですが本年度はAndroid Studio Koalaが紹介されました。
目玉はやはりGeminiとの連携ですがそれ以外でも開発が便利になる新機能が目白押しで利用するのが楽しみになる発表でした。
メンバーの感想
- チャットだけだったStudioBotからコード補完もできるGeminiに進化。選択範囲に対してプロンプトで細かい指示出せるのも使いやすそう。インラインブレークポイントとかも地味に便利で嬉しい。
- FirebaseはCrashlyticsがGemini連携し原因や対策を提案してくれるようになったので、クラッシュ調査で手早く洞察得るのに活用したい。
Google Play の新機能
io.google
セッション概要
多様な国やデバイスに対しても最適な表現をすることで更に深くリーチし、より安全なアプリ提供を実現できる新しい機能が紹介されました。
特にゲームアプリについてユーザーにより魅力を伝えファンを増やしていくプラットフォームとしていく事に力を注いでいる姿が印象的でした。
メンバーの感想
- セキュリティポリシー違反や不安定なサードパーティライブラリを審査時に教えてくれるのは助かる。
- レビュー提出前に一度出したアプリを削除できる機能はずっと欲しかったのでありがたい。リリースプロセスの柔軟性を上げる事ができる。
Android の新機能
io.google
セッション概要
基調講演でもフォーカスされていたGemini Nanoの活用例の他、最新OSであるAndroid15の機能紹介がされました。
メンバーの感想
- Kotlin2.0からComposeコンパイラがKotlinリポジトリに同梱されるようになったので複雑な互換性管理がなくなり嬉しい。
- Android15からEdge to Edgeがどのアプリでもデフォルトになりデザインが変わるので、次回のtargetSdk対応は苦労しそう。
WWDC24
公式ページ:WWDC24 - Apple Developer
開催期間:2024/6/10~6/14 (現地時間)
WWDCはAppleが毎年開催する開発者向けの大規模カンファレンスです。
Appleの最新製品や技術が紹介されるのでエンジニアだけでなくファンにも待ち遠しいイベントですね。
iOSエンジニアとしては新OSや開発環境が気になるところですが当メンバーはどこに興味を持ったのでしょうか…?
基調講演
developer.apple.com
セッション概要
数日間に渡るイベント全体のサマリともいえる基調講演は昨年度のVision Proのように目玉となる製品が発表される再注目のセッションです。
今回は何と言っても待望のApple製品搭載AIであるApple Intelligenceの紹介に当チームも湧き立ちました。
メンバーの感想
- 各アプリからシームレスにAI利用できるUIUXの作り込みはさすがAppleという感じ。
- ChatGPTとも併用というのが意外だったけどハイブリッドで使い分けるのは互いの強みを活かせて最適なのかも。
Xcode16の新機能
developer.apple.com
セッション概要
iOS開発環境であるXodeについて最新機能が紹介されました。
期待されていたAI活用によるコード補完やプレビューやデバッグ機能の強化など利用者にとっては気になる情報が盛りだくさんでした。
メンバーの感想
- macOSが最新のSequoiaでApple Siliconという条件は厳しいけどコード補完を早く使いたい。完全ローカルで動作して学習データにも利用されないとのことでプライバシーにも配慮されてるのはさすが。
- Copilotも使っているが並行して試せそうなので回答を比較してみたい。
Swiftの新機能
developer.apple.com
セッション概要
今年で10周年という事でSwiftの歴史を振り返りつつ最新のSwift6の新機能が紹介されました。
Swift6では特に非同期でのデータ競合の安全性を向上させる新しい言語モードが強調されていました。
メンバーの感想
- 歴史を見ているとSwift2→3は破壊的変更が多く永遠にビルドが通らず辛かったことを思い出した。
- Mac前提というのが試したくてもハードル高いので今後環境に依らず開発できるようにクロスプラットフォーム開発機能に注力してくれるのは嬉しい。
Swift Testingについて
developer.apple.com
セッション概要
Swiftを使用してコードをテストするための新しいパッケージ、Swift Testingについて紹介されました。
従来のテストフレームワークであるXCTestの辛い部分が大幅に改善されていそうで非常に期待感の大きい内容でした。
メンバーの感想
- 記述がシンプルになり可読性が大きく上げられそう。テストも並列実行されるとのことで実行時間短縮にも繋がりそうなのですぐに移行したい。
- XCTestは触ったことないがJunitだとできてることが多いので恵まれてるなと思った。
まとめ
以上、「Google I/O 2024とWWDC24で気になったセッション」を語り合ったTechCafe当日の内容を簡単にまとめさせていただきました。
紹介した以外でもより実践的な事例を紹介したテクニカルセッションや、ハンズオン形式で新しい技術を学べるCodeLabも公式ページにはあるので更に深く学びたい方はぜひご覧いただければと思います。
今回のTechCafeを通じて図らずもAIの最新機種への搭載、開発環境でのコード補完への活用などのトレンド情報に関してはGoogleとAppleそれぞれの特徴や注力ポイントを比較できるような形になりました。
当チームは日頃は各メンバーが各OSに専念して開発することが多いので、そういった面でも自分がよく知っていたり知らなかったりする情報を共有できた非常に有意義なイベントでした。
TechCafeは上記のように勉強会としての効果も高いと思うので、興味を持たれた方は初回開催するまでの道のりをまとめた以下ブログもご覧いただけますと幸いです。 tech-blog.rakus.co.jp
モバイルTechCafeも次回第3回開催を目指してテーマを吟味中ですので、ぜひご参加いただけますと幸いです。