id:radiocat です。スクラムマスターの修行中です。
今回はチーム力を高めるために私たちが取り組んでいる手法を紹介します。アジャイルのプラクティスとして紹介されている手法ですが、アジャイルではない開発の現場でも活用できるのでぜひ参考にしてみてください。
学びにフォーカスしてチームで試験問題を作る
この手法は「スクラム現場ガイド」という書籍の第20章で、新しいメンバーを受け入れる手法として紹介されています。
この書籍を翻訳されている安井さんが同様のテーマのスライドも公開されています。
www.slideshare.net
目的
チームが大事にしている文化や技術について繰り返しテストをすることで新しいメンバーにそれらを理解してもらいます。また、テストをすることで新メンバーの理解が足りていないことを既存メンバーも含めてお互いに認識することができます。
やりかた
- チームが問題を作る
- 新しいメンバーは毎週必ずテストを受ける
問題の例
チームに取り入れよう
私たちのチームも新しいメンバーを迎えることになったので、早速この手法を取り入れようと考えました。しかし、ここでいくつか疑問が浮かびました。
テストするのは新しいメンバーだけ?
テストは新しいメンバーだけに必要なものでしょうか?我々エンジニアは新しく作った機能を必ずテストしますが、そのテストを日々回帰的に利用する手法を取り入れています。同様にスクラムチームも定期的にテストすればよりチーム力を高められるのではないかと考えました。
テストという言葉のハードルが高い
新しく入ってきたメンバーに対して「これからテストしますよ」と言うのは少し仰々しく、これから一緒にやっていこうというのに逆に心理的な壁ができてしまいそうな気がしました。そもそもこのテストは「チームが大事にしている文化や技術について理解する」ことが目的であり「テストする」のは手段でしかありません。無理にテストという言葉を使う必要もないので余計な心理的障壁を作らないように「クイズ」という呼び方にしてはどうかと考えました。その名も「Scrum Quiz」です。
Scrum Quizとは
私たちはScrum Quizを以下のように定義しました。
- スクラムチームを前進させるための質問集です
- 以下のような内容について質問に回答することで相互理解を図ります
- 文化
- 価値観
- 必須スキル・理論
- クイズはみんなのものなのでチームの誰でも追加・更新できます
クイズの内容を考える
あとは問題を作るだけです。インセプションデッキにまとめた内容やチームで決めている品質の基準などを質問するようにします。また、ふりかえりで決めたルールなども質問に加えました。ふりかえりの時にチームで決めたルールがいつの間にか形骸化してしまうことが時々あります。クイズの問題にしておけばチームでそのルールを意識することができて、定着につなげることができます。
また、理解や定着が目的なので一言で答えられるようなクローズドな質問ではなく、あえてやや曖昧でオープンな質問にしてみました。
Scrum Quizの完成
そして私たちのチームのScrum Quizが完成しました。
チームの朝会(デイリースクラム)後に数分ほど時間をとってメンバーの誰か1人がクイズを引いて答えてもらうようにしました。正しく答えられることも大事ですが、チームで「ああ、そういうルールだったよね」という理解が共有されることも大事です。「補足すると、ふりかえりでこういう意見がでたのでこういうルールにしました」というような話が出ればさらに理解が深まって良いと思います。また、もしクイズに答えられなかったら、次の日のまでに答えをみつけて朝会で共有してもらいます。
チームを継続的にインテグレートする
Scrum Quizはチーム力を高めるためのテストです。これを日々実行することで継続的にチームの大事にしている文化をより強化することができます。エンジニア的な言葉で言い換えるとチーム力を高めるためのCIツールなのです。
アジャイルな現場に限らずどんなチームでも大事にしている文化やルールはあると思います。チームでテストを作っておけば、それらを確認し合ってチーム力を高めることができます。