はじめに
こんにちは、Hiropyです。
昨秋(2023年10月)IPAのデータベーススペシャリスト試験を受け、無事合格しました。
本記事では、私が行った対策法と軽い感想を紹介します。
データベーススペシャリスト試験とは
データベーススペシャリスト試験は、情報処理推進機構(以下、IPA)が行っている情報処理技術者試験の1つです。
名前の通りデータベースに関する専門性を問う試験で、IPAの試験では基本情報技術者試験や応用情報技術者試験の上位に位置する、いわゆるレベル4の試験となります。
ベンダー資格ではなく国家試験であることから、特定の製品に依存しない、設計・運用力を問う試験になっています。
問題は午前1,2(選択式)、午後1,2(記述式)の4段階で実施され、4つ全てで合格点を取ることで試験合格となります。午前1に関しては直近2年以内の応用情報技術者試験合格など一定の条件を満たすことによりスキップすることが可能です。
受験の動機
入社から3年余、業務でデータベースに接することが多かったのですが、設計や運用に関してはあまり触れてきませんでした。
とはいえ勉強するにも何からやれば…という状態で、国家試験のデータベーススペシャリストは一つのわかりやすい指標として興味を持っていました。
折しも私は2年前(2021年秋)に応用情報技術者試験に合格して以来IPA試験の合格から遠ざかっており、この秋を逃すと午前1の免除資格がなくなってしまう状態であったため、タイミング的にちょうどいいと思い受験を決めました。
受験対策
- 勉強期間: 3ヶ月・100時間程度
- 用いた教材(本のリンクに関しては同種の本の執筆時最新版を掲載しています)
- 情報処理教科書
- 「専門知識+午後問題」の重点対策
- 過去問道場
- 情報処理教科書
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なお、問題の傾向については私が受験した2023年秋時点のものであり、今後変更される場合があることをご了承ください。
午前対策
午前問題は選択式であることもあり、過去問から出る割合が高いです。
そのため、情報処理教科書をざっと読んだあとは「過去問道場をひたすらに解く⇔よくわからない箇所は教科書に立ち戻る」という方法で勉強していきました。
最初は分からなかった問題も繰り返し解くうちに覚えるようになっていき、最終的には正答率が8割を超える状態で試験に挑みました。
もちろん教科書の内容を理解し応用できるようになることも必要ですが、午前問題に関しては「過去問の問題と選択肢を覚えてしまう」という方法がかなり有効であると思います。これは他のIPA試験でも通用する方法でしょう。
午後対策
午後問題は午後1,2とも長文を読みながら設計や運用に関する問題に記述式(一部選択式)で答えていく形式です。
午後1では数ページ、午後2に至っては10ページ程度にも及ぶ長文や複雑な図の中から答えを見つけていくことから、俗に「国語の試験」とも呼ばれています。
こちらは午前試験と違い過去問がそのまま出ることはありませんが、私は午後問題でも教科書を読むことより過去問を解いて解説を読むことをベースとした勉強方法を続けました。
午後はより深い知識が求められるはずだから教科書を熟読して知識をつけては?と思われるかもしれませんが、データベーススペシャリスト試験は求められる知識量はあまり多くなく、むしろ与えられた要件を正確に読み解いて回答を導く力が重要になってきます。
ですので、知識を増やすことよりも問題形式に慣れ、より速く正確に問題文を読み取れるようになることを優先して勉強を進めていきました。
問題選択について
午後問題は問題を選択する形式になっており、午後1は3問中2問、午後2は2問中1問を選択します。
出る分野としては、午後1は概念設計(ER図や関係スキーマなど)と物理設計(パフォーマンスや同時制御など)、SQLを主題とした問題が1問ずつ出題されることが多いです。
また午後2に関しては例年概念設計と物理設計が1問ずつ出るようでした。
私は過去問を見ながら「物理設計の分野は要求される知識に知らないものが多い」と感じたので、暗記することの少ない概念設計と既に業務である程度使っているSQLに的を絞って対策することにしました。
結果
合格点を大きく超える点数で無事合格することができました。
特に午後1はかなりの高得点が取れていますが、これは概念設計が2問出たことが大きかったです。
対策する分野を絞ることは問題形式に依存する諸刃の剣ではありますが、今回は吉と出ました。
終わりに
資格としてはデータベースのスペシャリストとなったわけですが、「専門家になった」という気は全くしていません。
特に実務経験が増えたわけではないですし、知識を要求される分野を避けて対策を行いましたからね。
とはいえデータベースの設計をする際の頭の使い方は多少身についたかと思います。最近業務で設計をすることも徐々に出てきたので、できるだけ速く的確な設計ができるよう今回の受験体験を活かして頑張っていきたいです。
また、参考書は試験以外でも役立つと思うので、今回避けた物理分野の設計はまた見直しておこうと思います。
今回の合格で高度試験の午前1の免除資格が再度2年付与されたので、この期間内にまた何か合格できればいいなと考えています。情報処理安全確保支援士やシステムアーキテクト、2023年春に撃沈したネットワークスペシャリストあたりが候補です。今度は知識問題を避けることはできなさそうなので、じっくり取り組んでいこうと思います。