RAKUS Developers Blog | ラクス エンジニアブログ

株式会社ラクスのITエンジニアによる技術ブログです。

「プロダクト部はじめました」

こんにちは、プロダクト部副部長の稲垣です。

2025年4月から、プロダクトデザインの組織とプロダクトマネージャーの組織が、同じ「プロダクト部」という部門に統合されました。
マルチプロダクトでサービスの開発・運用を行う企業にとって、「製品づくりの組織デザイン」をどう構築するかは、各社が試行錯誤を重ねているテーマだと思います。本記事が、少しでもその参考になれば幸いです。

この記事では、以下の4点について紹介します:

  • ラクスにはどんな製品があり、どのような組織体制なのか
  • デザイナーとプロダクトマネージャーは、これまでどのように連携してきたのか
  • 今回、なぜ「プロダクト部」が立ち上がったのか
  • 「プロダクト部」はどのような役割を担うのか

ラクスはどんな製品を提供しているのか

2025年4月現在、ラクスでは10個の製品を提供しています(ラクスライトクラウド提供の2製品を含む)。最も古い製品は2001年にリリースされ、最も新しい製品は2024年10月に提供を開始しました。製品ごとに成り立ちの時期には大きな差があります。そのうち半数の製品はARR(年間経常収益)で25億円を超えており、最大の製品では100億円を超える規模となっています。

どんな組織体制になっているのか

ご覧のとおり、組織は大きく「開発部門」と「事業部門」に分かれており、その中に各商材ごとの組織が存在しています。
開発部門は主に拠点別(東京と大阪)に分かれており、それとは別に「横断開発部門」も設けられています。

PdM(プロダクトマネージャー)やQA(品質保証)は、商材ごとの開発組織内に数名配置されているケースもあれば、PdM・QAとして組織化されているケースもあります。プロダクトデザインについては横断開発部門内に集約されており、すべての商材を対象とした一つの組織として機能しています。

デザイナーとプロダクトマネージャーはこれまでどう連携をしていたのか

プロダクトの4階層をベースに役割分担を定義すると、以下のようになります。

ここまできれいに分担されているケースは稀ですが、書籍や他社のプロダクトチームの役割分担を一般化すると、このような形になると考えています。
実際には、企業の組織体制や製品フェーズによって、一人が複数の役割を担うことも多く、以下のようなケースもよく見られます。

  • コア領域において、事業責任者がPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)やリーダーPdM(プロダクトマネージャー)を兼任
  • ディスカバリーにおいて、UXデザイナーが不在のためPdMがその役割を担う
  • デリバリー(開発)において、PdMがPjM(プロジェクトマネージャー)を兼任
  • デリバリー(GTM:市場投入)において、PMMが不在でPdMがその役割を担う

ラクスにおいても、役割分担は製品によって大きく異なるのが現状です。
PdM組織は2021年8月に新設され、「楽楽精算」を皮切りに本格的なPdMの組織化が始まり、約3年半が経過しました。
※PdM組織(製品管理課)の新設についてはこちらをご覧ください(マルチプロダクトのPdMのリアルについてはこちら

PdM組織が立ち上がったことにより、プロダクトデザイナーの役割も以下のように変化しました。

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■PdM新設前
ディスカバリーでは、開発の上流やPMMと単独で連携
・デリバリーでは、開発と直接連携

■PdM新設後
ディスカバリーでは、デザイナーとPdMがPMMやCS/営業と連携しながら、お客様インタビューも実施
・デリバリーでは、開発と連携(必要に応じてPdMがサポート)
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PdM新設後、プロダクトデザイナーはよりデザイン業務に集中したり、ディスカバリーに積極的に参加したりできるようになりました。
その結果、理想とする役割分担の形に、少しずつ近づきつつあります。

今回、何故プロダクト部が立ち上がったのか

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
今回、なぜこのタイミングで「プロダクト部」が新設されたのかについてご説明します。

まず前提としてお伝えしたいのは、たとえ組織(部)が別であっても、さまざまな取り組みを推進することは可能だということです。
実際に「楽楽精算」では、横断組織と拠点別の組織が別部門で運営されていましたが、それでもプロダクトデザイナーの役割分担の見直し・進化を実現できました。

ただし、これと同じ取り組みを同じ組織内で行っていたとすれば、より早く、スムーズに実現できた可能性があるとも考えています。
この考え方が、これから述べる「発足経緯」の前提になります。

この3つに集約されます。

1.複数サービス利用推進

楽楽シリーズではこれまで、バックオフィスのDX化に向けて「ベスト・オブ・ブリード型製品開発戦略」を採用してきました。

そして今後も、この戦略を継続していく方針です。

楽楽シリーズは、バックオフィス業務を効率化・DX化する製品を提供する中で、複数の製品をご利用いただくお客様が増えてきました。
シリーズには、従業員全体が利用するような「楽楽精算」や「楽楽勤怠」のような製品もあれば、特定の部門で使われる「楽楽販売」のような製品もあります。

これらの製品は、サービス開始時期が異なるだけでなく、「ベスト・オブ・ブリード型製品開発戦略」を採用したことにより、同じ楽楽シリーズであってもUXが各製品に最適化されすぎており、シリーズ全体としての一貫性に課題が生じるケースもあります。

また、ラクスは2023年10月に以下のような発表を行いました。
ラクスが展開するバックオフィス向けクラウドサービス2023年10月よりブランド統一し、コミュニケーションを刷新

こうした背景を踏まえ、楽楽シリーズをご契約いただいているお客様や、これからご検討いただくお客様が、複数サービスをよりスムーズにご利用いただけるように、ブランド統一と、お客様のメンタルモデルを揃えるようなデザインへの移行が必要になってきました。

そのためには、デザイナーとPdMがこれまで以上に強く連携し、各製品間の連携もこれまで以上に意識して取り組んでいく必要があります。
これが、プロダクト部発足の経緯のひとつです。

2.UXの重要性

先に説明したとおり、ラクスが提供している製品は、最も古いもので2001年、最も新しいもので2024年10月と、製品の成り立ちには大きな開きがあります。
また、各製品が属する市場の成熟度にも大きな差があります。

これは一般論ですが、
市場が成熟してくると、多くの製品の機能はコモディティ化(機能の同質化)していきます。
そして、コモディティ化が進むと、価格競争が激化する傾向にあります。
ここでは価格競争そのものについては触れませんが、「製品価値」という観点で考えると、機能が同質化している状況下では「UX(ユーザー体験)」が差別化要因となり得ると感じています。

新しい機能を開発することももちろん重要ですが、UXを継続的に改善していくには、それを推進するためのリソース確保が不可欠です。
その際、デザイナーとPdMが同じ組織にいることで、お客様のUXに関わる課題を、同じ解像度で把握しやすくなります。
その結果、より高い価値を、より早く提供することが可能になります。

このような考えも、プロダクト部発足の背景の一つとなっています。

3.AI x SaaSの推進

2023年3月にGPT-4を搭載したChatGPTが登場して以降、業務生産性の向上だけでなく、生成AIの製品活用も一気に加速しました。
それと同時に「AIエージェント」という概念も徐々に注目されはじめ、特に2024年以降は、「Microsoft Copilot」「Google Gemini」「Notion AI」など、業務支援を目的としたエージェントが本格的に実装され始めました。

さらに2024年3月に「Devin」が登場したことにより、AIエージェントへの関心は一層高まりました。

最近では、AIエージェントやツール同士がモデルとやり取りするための MCP(Model Context Protocol) が話題となり、Anthropic社がオープンソースとして公開しています。 さらにそれを補完する形で、Agent2Agent(A2A)プロトコル が2025年4月9日にGoogle主導(50社以上のテクノロジーパートナーと共に)で発表されました。 これにより、異なるAIエージェント間の相互運用性が実現され、複雑なタスクを協調して処理できる未来が現実味を帯びています。

つまり、今まさに以下のような未来が近づいています:

  • MCP 一人の人間がさまざまなツールを使いこなし、何かを成し遂げる世界
  • A2A: 複数の“ツールを使いこなすAIエージェント”同士が協力し合い、人間を支援しながら何かを成し遂げる世界

前置きが長くなりましたが、このような世界において、SaaSも「人間が使うツール」から「AIエージェントが利用するツール」へと役割が広がっていきます。それに伴い、これまでの「人間に最適化されたUX」だけでなく、「AIにフレンドリーなデザイン」も必要になってきます。
つまり、デザインの難易度がこれまで以上に高くなるということです。

当社の現在の製品管理課(PdM)は、エンジニア出身者が多く、テクノロジーとしてのAI理解に強みがあります。そのPdMとデザイナーが連携を取ることで、デザイナー自身のAIに対する理解や解像度も高まり、人間とAIの双方に最適なデザインの提供が可能になると考えています。

以上が、プロダクト部発足の経緯となります。

「プロダクト部」はどのような役割を担うのか

こちらが、プロダクト部のミッションビジョン、そして活動領域です。
活動領域については、「プロダクトマネジメント・トライアングル」を用いて示しています。

先ほどご紹介した「一般的プロダクトチームの役割分担」において、リーダーデザイナー/PdMUXデザイナー/PdMは、同じ活動領域に属しているべきだと考えています。

Visonの()記載にしている「UX志向」については以下のように推奨する行動と推奨しない行動を明文化をしています。

明文化することで、製品づくりにおける前提となる考え方をすり合わせることができ、その上で、互いの専門性をぶつけ合える関係性が築かれることを期待しています。

どんな組織体制になっているのか

プロダクト部の組織体制は、以下のようになっています。
プロダクトデザイン課は、担当する商材に応じて3つの課に分かれており、ラクスが展開する全10商材を担当しています。
一方、PdM(プロダクトマネージャー)は1つの課で4つの商材を担当しています。

「一般的プロダクトチームの役割分担」については、ラクスにおいても製品の状況によって異なっており、製品管理課としてのPdMが関わっていない商材も多く存在します。

プロダクト部はどんなことをするのか

具体的な内容は製品戦略に関わるため、ここでは詳細をお伝えできませんが、これが立ち上げ初期に取り組んでいる内容になります。

すでにプロダクトデザイン組織については、別の記事で以下のような取り組みを進行中である旨を発信しております。

これらの取り組みに加え、今後はさらに「重点取り組み事項」を追加し、推進していく予定です。ラクスとして、これまで以上に「デザイン」と「テクノロジー」を融合させ、最高のUXを製品に提供し続けてまいりますので、ぜひご期待ください。

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