
こんにちは、プロダクト部 部長の稲垣です。(自己紹介やこれまでのキャリアについて↓をご覧ください。) tech-blog.rakus.co.jp
先日、こんなイベントでモデレーターをしました。このイベントではプロダクトエンジニアをテーマに対談をしました。この『プロダクトエンジニア』という言葉はここ5年くらいででてきた名称です。
プロダクト開発の現場では、 エンジニア・PdM・デザイナーという大きな分類だけでなく、 その内側でさらに細かな役割が生まれています。
- グロースPdM / テクニカルPdM / AI PdM
- プロダクトデザイナー / UXデザイナー / サービスデザイナー
- フロントエンド / バックエンド / SRE / Platform / MLエンジニア
こうした細分化は「仕事の複雑さに対応する進化」であり、 同時に「働く側の専門性の見える化」でもあります。しかし一方で、細分化すればするほど“本当に良いことなのか?”という疑問も生まれます。
本記事では、これまで自分の経験やラクスの開発組織を例にしながら、以下のテーマを深掘りします。
- 職種内細分化のメリット・弊害
- 求職者と企業側、それぞれにとっての価値
- 「越境しなさい」という言葉への違和感の正体
- ラクスは専門性と越境をどうバランスさせているのか
目次
- ■なぜ職種は細分化されるのか?──良い面と本質的な価値
- ■しかし細分化には“弊害”もある
- ■では、ラクスはどちらのスタンスなのか?
- ■まとめ:ラクスは「役割を尊重しつつ、越境も価値」と考える組織
- 最後に
■なぜ職種は細分化されるのか?──良い面と本質的な価値
専門性が深まり、プロダクト品質が上がる
プロダクトは年々複雑化し、AI・データ基盤・クラウド・UX のように専門性が高度化しました。
1人がすべてを深く理解するのは不可能です。そのため、
- AI PdM
- グロースPdM
- プラットフォームエンジニア
- UXリサーチャー
など、“深い専門領域”を担当するロールが自然発生 しています。 これは市場側から見ても、 専門性を言語化し、キャリア価値を高める良い流れ といえます。
自分の強みと合うポジションを見つけやすくなる
求職者にとっては、
- 「探索フェーズが得意」
- 「UI設計が強い」
- 「AI企画に興味がある」
といった“強み”と職種をマッチさせやすくなります。結果としてミスマッチが減り、 入社後の立ち上がりも速くなります。
組織側も「必要な人材」を明確にできる
採用・育成・配置の精度が上がるため、 中〜大規模の開発組織では特に細分化の恩恵は大きいです。
ラクスのように複数プロダクトが並行して走る企業では、
プロダクト固有の課題にフィットする役割を採用できる
のは大きなメリットです。
■しかし細分化には“弊害”もある
細分化は良いことばかりではありません。ラクスの文脈を踏まえると、特に以下の弊害が起こりやすいです。
① プロダクトごとの縦割りが強まる
役割が細かくなるほど、「ここから先は担当外」という意識が生まれやすい。ラクスのプロダクトは独立性が高いため、役割の細分化がそのまま“壁”になるリスク があります。
② “越境しないと回らない”状況を生んでしまう
人数が不足していたり、 立ち上げフェーズでロールが定まっていない場合、
- PdMがUXもやる
- デザイナーが要件定義も見る
- エンジニアが仕様詰めも担当する
という状況が発生します。これは本来、マネジメント側が役割を設計しきれていない場合に起こりがち。
③ キャリアの固定化が起こりやすい
役割が明確になると、
- 「あなたはグロースPdMだから探索は任せない」
- 「UIの人だからサービスデザインは向いてない」
と“移動の壁”が生まれることもあります。ラクスは社内異動が比較的柔軟な組織だからこそ、 ここは課題になりやすいポイント。
「越境しなさい」が生む違和感の正体
求職者・現場メンバーの中には、「越境しろ」という言葉にモヤモヤを感じる人も多いです。その違和感の正体は、
✔ 役割が曖昧なまま越境を強要されると、責任がぼやけるから
✔ 専門性を深めたい人からすると、広く浅くを求められるのは苦痛だから
✔ 越境できる人が“便利屋化”しがちだから
本来は、“越境”は役割を全うしたうえで自然に生まれる副産物 であるべきです。
専門性を深めるキャリアも、越境して幅を広げるキャリアも、 どちらも価値があり、どちらも正しい。
■では、ラクスはどちらのスタンスなのか?
ラクスは結論として、「役割定義は進める」+「越境も推奨する」
ただし実態はプロダクトフェーズごとにバラつきがあるという “ハイブリッド型” の組織です。
役割定義は進めている
ラクスでは近年、
- PdMの役割整理
- UXの期待値の明文化
- エンジニア領域の Platform / SRE / アプリ の区分
- AI PdM・データPdMのような新規ロール検討
など、「役割の明確化」が確実に進んでいます。ただし越境が必要な場面もまだ多い
特に以下の領域は越境が自然に発生します:
- 新規プロダクト・AI領域
- 小規模プロダクト
- 立ち上げ直後のフェーズ
- UXリサーチのリソース不足領域
そのため、役割があっても境界は柔らかいのが現状。
結果 ラクスの最適解は「専門性×越境」の両立型
ラクスは、
深い専門性を持ちつつ、必要があれば他領域にも関われるバランス型
を理想としていると言えます。そして、ラクスの開発組織としては、『顧客志向』を旨としているため、これを共通言語、見解として動くようにしています。
ラクスで活躍する人の共通点
職種に関わらず、ラクスで活躍しやすいのは次のタイプです。
✔ 自分の専門性を持ち、それを武器にしている
✔ 他職種の視点を理解し、壁を作らず連携できる
✔ 必要なときは越境する柔軟性がある
✔ 役割定義が曖昧なら言語化し、組織に提案できる
✔ 利用するお客様を向いている
“なんでも屋”ではなく、 専門性を軸にしながら、必要に応じて染み出すタイプ がもっともパフォーマンスを出しやすい環境です。
■まとめ:ラクスは「役割を尊重しつつ、越境も価値」と考える組織
ラクスは、
- 役割をきっちり定義する
- 専門性を評価する
- 越境も歓迎する
- プロダクトごとに柔軟に運用する
という、“いいとこ取りのハイブリッド型”のスタンスです。PdM・デザイナー・エンジニアのいずれにとっても、専門性を磨きつつ、必要な範囲では越境できる柔らかな環境 といえます。
以前にイベントで以下のような話をしましたので合わせて見てもらえればと思います。
最後に
職種の細分化も、越境も、どちらも本質的には プロダクトの価値を最大化するための手段 です。
ラクスはその両方をうまく取り入れながら、多様なスキルセットを持つ人たちが活躍できる組織づくりを進めています。“専門性×越境” のバランスに興味がある方にとって、 ラクスはとても相性の良い環境になるはずです。
本記事を読んでラクスのプロダクト部に興味を持ってくださったデザイナー / PdM の方は、ぜひカジュアル面談からご応募ください。
※プロダクトマネージャーのカジュアル面談は、基本的に私(稲垣)が担当します!
●採用情報 プロダクトマネージャー career-recruit.rakus.co.jp
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