8/7(水)にRAKUS TechConference(以下TechCon)が開催され、盛況のうちに閉会しました。本記事ではその様子を、TechConを開催する目的や背景、当日発表資料なども交えながらご紹介します!
TechConとは?
TechConは、ラクスの開発組織である開発本部が主催する、年に一度の大型イベントです。2022年に初開催し、今年で3回目を迎えました。 毎年、各チームがテーマに沿って取組みを発表する形式で開催しています。
TechConの開催目的
TechConは、当社のエンジニアやデザイナーが日々の業務を通じて得た独自の知見を発信することで、当社の開発組織やカルチャー、開発プロセス、利用技術について広く知っていただくことを目的としております。 また社内のエンジニアにとっても所属する組織の文化を改めて認識する機会とし、士気を高める場にしたいという目的もあります。
今年のテーマは「顧客志向」
今年のテーマとして掲げたのは、
「顧客志向」
です。
ラクスの開発組織にとって「顧客志向」とは
私たち開発本部は
「顧客をカスタマーサクセスに導く圧倒的に使いやすいSaaSを創り提供する」
というミッションを掲げています。
このミッションを実現するためには、何よりも「顧客志向」が欠かせません。
ラクス開発本部にとっての「顧客志向」とは
顧客を深く理解し、本当に必要な機能を見極めた上で開発を行うこと、また顧客フィードバックを迅速かつ的確に製品に反映させることです。
開発本部が「顧客志向」を徹底することは
提供価値を追求し選ばれ続ける製品を提供することであり
ひいては
「ITサービスで企業の成長を継続的に支援する」という全社のミッション実現にもつながると考えています。
なぜ「顧客志向」をテーマに選んだのか?
「顧客志向のSaaS開発組織」であることは、2000年代初頭から顧客視点を重視して開発してきた当社の強みです。
しかし、組織が急成長する中で、メンバー一人一人の顧客に対する解像度が低下するという問題にも直面しており、「顧客志向」の維持・向上という課題にしっかりと向き合わなければなりません。そこで顧客志向の維持・向上という課題に各組織がどのよう取り組んでいるか、現場のリアルな事例を紹介し、顧客志向を持って開発する重要性を参加者の皆様と共有する場にしたいと考えて、このテーマを選びました。
イベント概要
日時 :2024/8/7(水) 14:00-18:00
会場 :オンライン
参加費:無料
主催 :株式会社ラクス開発本部
Xハッシュタグ:#RAKUSTechCon
【イベントメッセージ】
ラクス開発本部は「顧客をカスタマーサクセスに導く圧倒的に使いやすいSaaSを創り提供する」をミッションに掲げています。私たちは、2000年代初期のSaaS開発時から徹底して顧客視点を大切にし、顧客のペインポイントを理解し、その解決に向けて様々な取り組みを行ってきました。一方、組織が急拡大する中で、エンジニア一人ひとりの顧客に対する解像度が低下するという課題にも直面しました。
本カンファレンスでは、私たちが直面した困難とその乗り越え方、顧客視点を保つための具体的な取り組みを、CTOやPdM・EM・エンジニア・デザイナーが現場のリアルな声でお届けします。
顧客志向の開発を重視し、真のカスタマーサクセスを目指す皆様に、私たちの知見とインスピレーションを少しでも共有できればと思っています。
発表の紹介
ここからは各発表内容の紹介です!
「顧客志向」の開発組織
登壇:公手 真之 [執行役員 兼 開発本部長]
👉概要
ラクスの開発組織の進化を振り返りながら、「顧客志向の開発組織」となるために取り組んできたことをお話ししました。
初期のベンチャー組織から機能別組織、そして現在の事業部制へと移行する過程で、組織が大きくなるにつれて、顧客の声を取り入れる難しさが増してきます。
今後も「顧客志向の開発組織」であり続けるために、共通認識を強化するためのワークショップ実施や、各チームで顧客視点を強化するためのアクションを行い始めていることも紹介しました。
マルチプロダクトでのプロダクトマネージャーのリアル
登壇:稲垣 剛之 [製品管理課 課長]
👉概要
ラクスのPdM組織がどのようにお客様、製品、ステークホルダーと向き合い価値を出しているのか、現場でのやりがい、苦労、難しさのリアルをお話ししました。下記のようなテーマで、ラクスならではの特徴を紹介しました。
・PdM組織の役割、発足と拡張の経緯
・ラクスにおけるPdMの役割分担、日々のプロダクトマネジメント手法
・マルチプロダクトならではのチャレンジと楽しさ
・今後の課題と展望
拡大するマルチプロダクトSaaSの顧客理解にデザイン組織はどう取り組んでいるか
登壇:小林 肇 [プロダクトデザイン課 課長]
今村 沙穂理 [プロダクトデザイン課]
👉概要
プロダクトデザイン課がマルチプロダクトSaaSの顧客理解にどのように取り組んでいるかをお話ししました。特に、顧客課題を解決するUI/UX設計のために、顧客理解とドメイン知識が重要であるということを、過去の失敗例や成功例を通じてご紹介しました。
さらに今後の課題として、顧客理解のさらなる深化と、それをチーム全体で共有することの重要性をお話ししました。
急成長する大規模プロダクト開発のマネジメント課題とアプローチ
登壇:高橋 康弘 [楽楽精算開発部 部長]
小宮山 和彦 [楽楽精算開発1課 課長]
涌井 友輔 [楽楽精算開発1課]
👉概要
楽楽精算開発チームが急拡大する中で発生した組織的課題、開発プロセス課題、技術的課題を紹介しました。
組織的課題としてはマネジメント負荷の増大、開発効率の低下が挙げられています。
これらの解決策として、役割の専門分化や技術負債の解消を目指したチーム構成の見直しが行われています。
開発プロセス課題としては、サービス拡大により肥大化するコードに対する認知負荷が挙げられます。
分業化によりこの課題に対処しましたが、顧客視点の希薄化という新たな課題も生まれました。現在は顧客視点を強化するため、PdMとの連携や要求共有、顧客の声を直接聞く機会の提供や、仮説のモニタリングと検証に取り組んでいます。
技術的課題としては、技術的負債の解消が挙げられます。コードのリファクタリングやインフラの刷新に取り組むことで、生産性の向上と顧客価値の最大化を図る方針を紹介しました。
これらの取り組みを通じ、開発効率の向上と顧客ニーズに迅速に対応する体制の強化が期待されます。
パフォーマンス向上とリソース管理のためのアプローチ
登壇:牧野 寛知 [ラクスライトクラウド 企画課]
上原 崇 [ラクスライトクラウド 開発部]
👉概要
ブラストエンジンは、顧客のメールサーバ運用の課題から生まれた、API連携やSMTPリレーを通じて効率的なメール配信を可能にするツールです。
サービスを運営するうえでは、API処理のタイムアウト、ユーザリソースの集中利用をはじめとする、パフォーマンスとユーザリソース管理の課題がありました。
これに対し、非同期API設計、レートリミットの採用、MongoDBの導入などの対策を実施しました。その結果、ユーザに安定したシステムを提供でき、利便性も向上できたことをご紹介しました。
急成長するサービスを支えるためのインフラ戦略
登壇:藤井 靖弘 [インフラ開発部副部長]
👉概要
ラクスでは急成長するサービスを支えるために、戦略的にオンプレミスを選択しています。
オンプレミスには、コストマネジメントと技術面の自由度を確保できるメリットがあります。セッションでは仮想化技術の導入によるラックコストの大幅な削減や、安定運用を実現するためのIOPS要件の最適化を紹介しました。
新技術導入によるコスト低減とレスポンス性能向上により、顧客満足を高める望ましいループを作っていく狙いをお話しました。
楽楽精算のQA改革~楽楽精算でのQA専門組織の実践と成功事例
登壇:金子 佳樹 [東京開発統括部 QA課]
👉概要
「楽楽精算」の品質保証(QA)専門組織の取り組みについて紹介しました。
楽楽精算のQA組織は、開発フェーズのテストだけでなく運用にも関わり、サービス全体の品質向上を目指しています。サービス利用社数の増加に伴い、開発とテスト・運用を並行して行うよりも、専門組織化するほうが効率的であるという背景があります。
顧客課題解決のためには、運用フェーズでしか得られないフィードバックも重要であり、それを開発に活かすフィードバックループを確立する取り組みをお話ししました。
新たな顧客課題に挑む17年目の進化とモダナイゼーション
登壇:大塚 正道 [配配メール開発課 課長]
井上 良太 [配配メール開発課]
亀ノ上 孝雄 [フロントエンド開発1課]
👉概要
17年目を迎える「配配メール」は、従来のBtoB向けのメール配信サービスからマーケティング・オートメーション機能を取り入れたサービスへ進化しました。より顧客に成果を実感していただくために、新たにリード獲得や商談獲得をサポートする機能が追加されました。
技術的には、従来のレガシーシステムのモダナイゼーションや、モダンなフロントエンド技術の導入に挑戦し、多くの一般ユーザーのアクセスに対応するためのフォーム機能やポップアップ機能を実現しました。これらの取り組みにより、サービスの進化と顧客価値の向上が図られています。
クロージングトーク
登壇:矢成 行雄 [大阪開発統括部 統括部長]
小林 肇 [プロダクトデザイン課 課長]
稲垣 剛之 [製品管理課 課長]
大塚 正道 [配配メール開発課 課長]
TechConの締めくくりとして、エンジニアリングマネージャー、プロダクトデザイナー、プロダクトマネージャーによるクロージングトークを行いました。
- 顧客志向を組織でどのように浸透させていくか
- ラクスならではの顧客志向の取り組み
- 生成AIが顧客体験や開発をどう変えるか
など、最後まで熱い議論を交わしました!
終わりに
今回のTechConは開発本部のミッションに立ち返り、「顧客志向」をテーマに開催いたしました。昨年度より多くの方にご参加いただいたほか、参加アンケートからも取り組みに共感頂けたことが伺え、感謝いたします。
また社内からもポジティブなフィードバックが多く寄せられ、社内外共に意義深いものになったと振り返っております。
引き続き「顧客志向」重視の開発に取り組み、そこで得られた知見を次回のTechConでお届けしたいと思います!
◆ 関連記事 昨年度(2023年)の開催レポートは以下をご覧ください tech-blog.rakus.co.jp