
こんにちは、プロダクト部 部長の稲垣です。(自己紹介やこれまでのキャリアについて↓をご覧ください。) tech-blog.rakus.co.jp
今回は、私が作った「PdMタイプ診断」という取り組みについてご紹介します。 この診断は、既存の性格診断をそのまま用いたものではなく、PdMとしての思考や行動の傾向を整理するために、認知スタイルに関する考え方をヒントに独自に設計したものです。
診断の仕組みと、ラクスの開発組織で実施して見えてきたことをレポートします。
- なぜ作ったのか
- 診断の仕組み:3つの軸、8つのタイプ
- ラクス社内で試してみた
- 開発組織全体の傾向:「Logic × UX × Discovery」が最多
- プロダクト部の特徴:「Discovery」が際立って高く、2つのタイプが拮抗
- この結果をどう受け取るか
- まとめ
- おわりに
なぜ作ったのか
きっかけは、小さな課題感からでした。
PdMのイベントや社外の方と話すとき、「どんなPdMですか?」という問いにうまく答えるのが難しいと感じることがありました。 職種名だけでは伝わらないですし、スキルセットを並べても、その人らしさまではなかなか見えてきません。
もう一つ感じていたのが、チームづくりの場面で、このメンバーはどんな場面で力を発揮しやすいのかを共通言語で話しにくいことでした。 もちろん、人の適性や可能性は診断だけで決まるものではありません。 ただ、対話のきっかけになる整理軸があるだけでも、お互いの理解は進めやすくなります。
そこで、PdMとしての思考・行動スタイルを3つの軸で整理し、8つのタイプに分類する診断を作ってみました。

初対面のPdM同士で話すきっかけにしたり、チーム内で自分や他者の強みを言語化したりするための、参考情報の一つとして使えることを期待しています。また今回の整理にあたっては、設問やタイプ説明のたたき台を考える過程で、生成AIも補助的に活用しました。
人が考えるべき軸や解釈を前提にしつつ、表現の幅を広げたり、説明文を磨いたりするうえで、AIは良い壁打ち相手になると感じています。
診断の仕組み:3つの軸、8つのタイプ
診断は、3つの軸の組み合わせでPdMのタイプを分類します。
軸① コミュニケーション
Logic(理詰め型)/ Emotion(共感型)
チームや関係者をどう巻き込むかを見る軸です。 データや論理で動かす傾向が強いのか、共感や関係性を起点に動かす傾向が強いのかを見ます。
軸② 価値の方向性
UX(ユーザー価値重視)/ BV(ビジネス価値重視)
どの成果をより重視しやすいかを見る軸です。 顧客体験を起点に考えるのか、事業成長や収益性を起点に考えるのか、その傾向を整理します。
軸③ 志向性
Discovery(探索志向)/ Delivery(実行志向)
どのフェーズでモチベーションを感じやすいかを見る軸です。 まだ見ぬ課題を発見することに惹かれるのか、価値を着実に届けることに手応えを感じるのかを見ます。
この3軸の組み合わせで、8つのタイプになります。

※本記事では、診断の詳細な設問内容や公開方法そのものの案内は割愛します。
ラクス社内で試してみた
せっかく作ったので、ラクスの開発組織でも試してみました。 プロダクト部のメンバーだけでなく、楽楽シリーズの開発に携わるエンジニア、QA、インフラ、管理職まで、幅広く参加してもらいました。
ここで紹介するのは、個人を評価したり決めつけたりするためのものではなく、組織の傾向を俯瞰して見るための集計結果です。 「どのタイプが優れているか」を見るものではなく、「どんな視点が集まっているか」を知るための材料として扱っています。
そのうえで、いくつか興味深い傾向が見えてきました。
開発組織全体の傾向:「Logic × UX × Discovery」が最多
開発組織全体を見ると、もっとも多かったのは サイエンティスト(Logic × UX × Discovery)タイプでした。
各軸の全体比率は次のとおりです。

論理的に考え、ユーザー価値を重視し、探索や発見にモチベーションを感じる人が多い。 これが、開発組織全体の大まかな傾向でした。
実際、日々のプロダクト開発でも、
- 「顧客課題をより深く理解したい」
- 「仮説を立てて検証したい」
という姿勢を持つメンバーが多いと感じています。この傾向は、顧客にとって本当に価値のある機能や体験を考えるうえで、ラクスの開発組織らしさの一つかもしれません。
プロダクト部の特徴:「Discovery」が際立って高く、2つのタイプが拮抗
プロダクト部に絞ると、また少し違った顔が見えてきました。 プロダクト部の各軸比率は次のとおりです。

特に目を引いたのは、志向性です。 全体でも67%がDiscovery型でしたが、プロダクト部では79%とさらに高くなっていました。まだ答えのない問いを探索することが好きな人、発見のフェーズにエネルギーが湧く人が多い組織だと言えそうです。
さらに興味深かったのが、タイプの分布です。 プロダクト部で最多だったのは、ビジョナリー(Emotion × UX × Discovery) と ストラテジスト(Logic × BV × Discovery) の同率首位でした。
一方は、共感から未来の体験を描くタイプ。 もう一方は、構造から勝ち筋を見出すタイプです。
アプローチは対照的ですが、どちらも「Discovery(探索)」に強く向いているという共通点があります。 感性寄りの人と論理寄りの人、ユーザー価値を強く見る人とビジネス価値を強く見る人が混在している。 その多様さが、ラクスのプロダクト部の特徴の一つなのかもしれません。
この結果をどう受け取るか
「タイプが違うと、摩擦が生まれるのでは」と感じる方もいるかもしれません。
私は、むしろ逆だと思っています。 たとえばビジョナリーとストラテジストは、それぞれ異なる強みを持っています。 共感から体験を描く力と、構造から事業の勝ち筋を考える力は、どちらもプロダクトづくりに欠かせません。
大切なのは、「あなたはこのタイプだからこうあるべき」と決めることではなく、 このチームにはどんな視点が集まっているのかを知ることだと思っています。
その視点の違いを理解できると、
- 顧客課題の見立てに偏りがないか
- 意思決定の観点が足りているか
- 誰がどの場面で力を発揮しやすいか
といったことを、より建設的に話しやすくなります。
実際、この診断をきっかけに、ラクスのプロダクト部でも 「自分はどういう場面で力を出しやすいか」 「チームとして見ると、どの視点が強くて、どの視点が薄いか」 を話題にしやすくなった感覚があります。
その結果として、顧客にとっての価値の捉え方や、プロダクトづくりにおける役割分担の解像度が少し上がったように感じています。
まとめ
「PdMタイプ診断」は、まだ発展途上のツールです。 型にはめることが目的ではなく、共通言語を通じて、自分やチームの傾向を理解するための出発点として使ってもらえたらと思っています。
PdMとして、あるいはプロダクトづくりに関わる一人として、 「自分はどんな場面で力を発揮しやすいのか」 「チームの中でどんな視点を持ち込みやすいのか」 を考えるきっかけになれば、作った甲斐があります。
そして、こうした相互理解は、よりよいチームづくりだけでなく、 顧客課題を多面的に捉え、より価値あるクラウドサービスを届けることにもつながるはずです。
興味を持っていただけたら、ぜひ一度試してみてください。
おわりに
ラクスのプロダクト部では、さまざまなタイプのPdMやデザイナーが一緒に働いています。 違いを面白がりながら、顧客にとってよりよい価値を考え続けたい方と、ご一緒できたらうれしいです。
採用情報は、ぜひこちらからご覧ください。