RAKUS Developers Blog | ラクス エンジニアブログ

株式会社ラクスのITエンジニアによる技術ブログです。

PdM像は十人十色──「我々は何者か」

どうも、稲垣です。

先日、PM、PdM向けイベントを0からみんなで作る会に参加しました

参加のきっかけは、これまでとは少し違った雰囲気のイベントだったこと。それくらいの軽い気持ちでしたが、参加してみると、たくさんの気づきがありました。

せっかくなので、ブログにまとめてみようと思います。 思ったことを、感じたままに綴ります。読んでくださる皆さんにとって、何かしらの学びや気づきになれば嬉しいです。

前置きが長いですが是非!(イベントの内容については、ブログの後半でレポート)

プロダクトマネージャーの解像度のあげ方

現在、私はラクスの「製品管理課」という組織でマネージャーを務めています。これまでの経歴としては、エンジニアを軸にしながら、さまざまな業務に携わってきました。

実は「PdM(プロダクトマネージャー)」という役割を知ったのはラクスに入社したタイミングが初めてでした。私が入社した当時、ラクスにはPdMという役割は、まだなく「製品企画」というポジションが事業部側に存在していただけでした。

では、私(稲垣)がどのようにPdMという役割を理解していったのかをお話しします。

正直なところ、入社当初はPdMという役割についてあまり意識していませんでした。 というのも、当時の製品開発には明確な課題があり、それを解決することが最優先だったからです。

その課題解決に、まずは1〜2年ほど集中して取り組みました。

その後、「PdMの採用」に向き合う必要が出てきたことで、改めてPdMという役割を 正しく理解しなければと考えるようになりました。 そこで、まずは基礎から学ぶために、PdM関連の書籍を3冊、徹底的に読み込むことから始めました

プロダクトマネジメントのすべて / プロダクトマネージャーになりたい人のための本 / プロダクトマネージャーのしごと 第2版

正直に言うと、本を読んだ感想としては、

 「マインドセットや考え方は、これまで自分がやってきたことと大きく変わらないな

と感じました。対して「PdMの役割がいまいちよくわからない」とも思いました。

PdMでの転職・採用経験がある方ならわかるかもしれませんが、PdMという職種は、求職者によってイメージが大きく異なります。前職では、エンジニア、デザイナー、営業、CS、バックオフィス、物流、ほぼ全ての採用、面接を1年ほど担当していましたが、それと比較しても業務内容のイメージのばらつきが大きいです。

さきほど紹介した書籍は紛れもなく良書で、書いてある内容も素晴らしいです。
でも、正直に言って「本に書かれているような役割を、そのまま実践できているPdM」はいないと思います。これまで100人以上のPdMとカジュアル面談をしてきた中で、はっきりとそう感じたからです。

ちなみに採用初期のころは、カジュアル面談をせずに、いきなり面接をしていました。
「業務内容のイメージのばらつき」のせいで、かなり苦労しました。

私が面接で質問すると、相手は「なぜそんなことを聞くんだろう?」という反応。
逆に相手からの質問に対して、私も「なんでそんな質問を?」と戸惑うことも多くありました。
今思えば、求職者の方にとっても失礼なことをしてしまっていたと思います。

そもそもプロダクトマネージャーって何者?

ある人は「ゴジラ」みたいに圧倒的な力でプロジェクトを引っ張る存在だと言い、
ある人は「ルフィ」みたいに仲間を巻き込んで進んでいく冒険家だと言う。
リプリー(エイリアン)」のように未知と戦う人もいれば、「ドラえもん」のように未来の道具で課題を解決する存在だと語る人もいる。炭治郎、アトム、ゴン、ケンシロウ、イーサン・ハント…

出てくるのは漫画・アニメ・映画・実写・人間・ロボット、何でもあり。
──そう、みんな「PdM像」がバラバラだったんです。

だからまずやったのは、

「我々は何者か?」を明らかにすること

これを明確にしなければ、役割も、期待も、採用も、評価も全部ズレてしまう。

じゃあ、どうやったのか?
「PdM」が含まれるイベントに参加しまくり、カジュアル面談でひたすら語り、聞きました

「PdMとは何か」「ラクスにおけるPdMとは何か」
「我々の物語はどう始まり、どう進んでいくのか」

まるで映画や漫画の「企画会議」のように、ラクスのPdMという"キャラクター"を言語化していきました。それを「カジュアル面談資料」という漫画に、約40スライド程度で内容をまとめました。そして、毎回約15〜20分間、稲垣がカジュアル面談を通じて全力で伝えています。

多くの応募者からは、「聞きたいことが全部聞けました」とお褒めの言葉を頂いています。
ちなみに、ラクスに入社してほしいという訴求は一切行っていません。

「費用対効果が悪くない?」という疑問もありますが、このカジュアル面談には以下のようなメリットがあり、むしろ費用対効果はよいです。

  • 自分の言葉で話すことで、自分自身のPdMとしての解像度が上がる
  • こちらから全情報を提供するため、相手の質問を通じて新しいPdM像が明確になる
  • 選考ではないものの、質問の質などで相手のレベルがある程度わかる
  • 違うと感じても「ラクスのPdMは面白そう」と他のPdMに口コミしてくれる

しかし、これまで行っても採用にはあまり効果が出ませんでした。。1名が入社し、内定は出したものの承諾には至らず)。その理由は明確でした。

ラクス?楽楽精算って聞いたことあるけど、どんな課題があるの?

ラクスは、国内SaaS業界でベスト3に入り、最近ではARRが400億円を突破しました。また、「楽楽精算」は導入社数で1位を誇っています。

しかし、PdMや製品デザイン・開発を担当する人々の認知度とは、これらの実績が直接的に関連していないことに気づきました。実際、これは弊社の技術広報の調査でも明らかになっています。

「漫画」ができたら、次は?

やるべきはラクスの開発・デザイン・PdM組織の認知

どんなに素晴らしい映画や漫画を作っても、認知されなければ意味がないのと同じです。
そこで、2023年の2月から積極的にイベントに参加・登壇し出しました。

結果として、
 2024年度には
   イベント登壇・対談が14回、参加が約40回(EMなどのイベントも含む)
となりました。(対談・登壇は弊社技術広報の多大なる支援の成果でもあります)
この活動のおかげで
   4名のPdMを採用、リーダークラスのPdMやドメインエキスパート候補など
採用が好転し、入社した方々は現在、活躍していただいています。

また、私たちラクスにPdMがいることや、開発組織が「顧客志向」を強みとしていることが、これまでよりもは伝わったのではないかと思います。

イベント登壇・対談・参加の新たな価値

当初の目的は「採用」でしたが、最近ではそれ以外の価値も得られるようになっています。

イベントで多くのPdMと深く話すことで、実際にその業務を行わなくても、そのプロダクトのPdMをしているような感覚になることがあります。多くのPdMは言語化が得意で、非常にわかりやすく話してくれるため、そうした会話が貴重な経験となります。

村上春樹
 「本を読むということは、他人の人生を追体験することだ。」

イベントで話したり、聞いたりすることで、他のPdMの経験を追体験できるのです。
成長には経験が不可欠です。

読書で知識は増えます。知恵はその知識を実際の体験にすることで生まれます
だからこそ、今は採用だけでなく、知恵を得るためにもイベント登壇・対談・参加しています。

2025年度は
イベント登壇・対談・参加は前年度の2倍(登壇・対談 20回 /参加 80回)
を行動目標としています。

また、内容もPdMやEMだけでなく、UXや組織に関連するテーマでも登壇していこうと考えています。 (2025年度からプロダクト部となり、デザイナーと同組織になりました)

tech-blog.rakus.co.jp

ですので、もしそういった依頼等あれば気軽にご連絡ください。

まとめ

ここまで読んで気付いた人もいると思いますが、ここまでの話のプロセスやアクションはそのままプロダクトマネジメントなんです。

  • プロダクトの解像度をあげるためインタビューやリサーチで多面的に捉える
  • プロダクトの価値や強み、未来も描き、誰もがわかるように言語・資料化する
  • プロダクトを伝える・届けるためにターゲットを絞って伝えていく
  • これらをひたすら実施し続けて、最高の状態であり続ける

PdMって面白くないですか?

PdMになる一番の簡単な方法は『自分はPdMだと名乗ること』だと思っています。
ラクスの製品管理課にご応募頂ければPdMになれますので是非ご応募ください。

career-recruit.rakus.co.jp

と、ここまでが前置きです(笑)ここからがイベントレポートです

「PM、PdM向けイベントを0からみんなで作る会」の参加レポート

このイベントはPdMのイベント参加者で創ろうという会です。
ROSCA 技術広報の@ROSCA_kotaさんが発起人で、PdMのイベントでも良くお見かけする@uekiyuta1991さん、@gimupopさんがコアメンバーで参加されていました。

会場はジーニーさんの新宿のオフィスで、開催されました。
30名程度があつまり、イベント企画を考えるというイベントです。4-6人でチームをつくり、全6チームで約50分で企画を考えて発表するというイベントです。

自分のチームは主催の@ROSCA_kotaさんとジーニーのPdMの方3名の5人チームでした。50分かなり濃度の濃い話をできて満足でした。

そして、本チームで考えた
「PMのMBTIを作る」
でした。
今回各チームが考えたものを投票をする形式でしたが、僅差ですが、一位となりました。(自分はツクルの大変なのわかったので、別チームに票を入れました)

このアイデアですが、これが本ブログの前置きの話につながります。

漫画、映画という抽象度が話より、『ゴジラ』『ワンピース』『鬼滅の刃』って決まってた方が深い話ができますよね?

私はイベントで対談する機会が多いのですが、そのたびに「当社のPdMの業務範囲はここです」といった前提の説明を必ず行うようにしています。

なぜなら、ロードマップや評価の話をする場合でも、前提となる業務領域が共有されていないと、「それが自分にとって参考になるのかどうか」が判断しづらいからです。

実際にPdMイベントに多く参加してきた中で、自分自身が感じた大きなペイン(課題)がこの「前提のズレ」でした。

要は、これから『ゴジラ』の話をします!にしたい。
(ちなみに2025年5月現在、38本のゴジラ映画があるみたいです)

PdMってかなり後発の役割だと思ったので、ChatGPT先生に聞いたら、こんな回答でした

以前にもリサーチしていて、なるほど思ったんですが、基本は
 マーケティングとモノづくり
の観点から誕生しています。

自分の解釈では以下の「各職種領域」の中の「各業務」の一部を担っているのがPdMだと感じています。

「各職種領域」の中の「各業務」の一部が違うのがPdMをわかりづらくしている根底だと思っています。例えば以下のイメージが沢山あるのではないかと思います。

各職種領域の中の各業務を10個程度定義してみて、各PdMが自分がやっている業務に〇をつけてみる。すると大きく10~15個くらいのタイプにわけられるのではないか?と思っています。

さらにそのタイプは「製品フェーズ」「組織規模」「会社文化」「製品特性」で一定の共通点もある、あるいは全くない(どっちでも興味深い)のでは?と思っています。

そして、これがわかっていると同じタイプのPdMと話せばこれまで以上に前提情報が少なくても盛り上がることができるのではないかなと思っています。

最後に

どうでしょうか?皆さん、作ってみたくなりませんか?

正直、これまで自分がやったアクションでは無理なんです。具体的なPdMの実務まではイベント等で聞くのは難しく、仮にできても膨大な時間がかかります。

ChatGPT先生によれば、国内IT企業のPdMは1~3万人と推定されるようです。 仮に2万人だとすると
信頼水準:

  • 95% → 約370人

  • 80% → 約160人

  • 70% → 約25人

信頼水準70%くらいなら30人のイベントで実現できてしまいます。

是非、共感された方は「いいね」や本ブログをXで「#PdM_MBTIハッシュタグ付きで拡散してもらえればと思います。

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