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プロダクト部、2年目はじめました 〜圧倒的スピードで価値を届けるフェーズへ〜

こんにちは、プロダクト部 部長の稲垣です。(自己紹介やこれまでのキャリアについて↓をご覧ください。) tech-blog.rakus.co.jp

2027年3月期の初日ということで、自組織でもキックオフMTGを先月実施しました。プロダクト部が組成されてちょうど1年経ちましたので、昨年度の振り返りと今期の取り組みや今後とその先について、今考えていることをまとめてみました。

※本記事は、プロダクト部の取り組みを紹介する目的で、執筆時点の考えを整理したものです。状況や学びに応じて、方針や進め方はアップデートしていきます。

2026年3月期の振り返り(確かな歩みと見えてきた本質)

まずは直近1年間の振り返りです。組織としての成長と、次へ向かうための課題が明確になった期間でした。

組織強化という「Good」な成果

昨年度の最も大きな成果は、なんといっても組織の基盤が強固になったことです。プロダクト部は現在、30名を超える組織へと拡大し、デザイナー、プロダクトマネージャー(PdM)ともに大幅な増員と組織強化を実現することができました。マネジメントやリーダー、シニア層も複数名増え、体制がより盤石になってきています。

この成長は決して自然に起こったものではありません。各マネージャーの献身的な頑張りはもちろんのこと、現場のメンバー一人ひとりが採用活動や社外への発信に積極的に協力してくれた結果です。チーム全員で組織を創り上げているという実感があり、この場を借りてメンバー全員に心からの感謝を伝えたいと思います。

また、スキルや役割の面でも良い変化が起きています。デザイナーはより深いUXの領域へ、PdMはプロダクト戦略やPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)の領域へと、それぞれが「上流への領域染み出し」を順調に進めてくれています。単なる「作る人」から「価値を定義し、届ける人」へと、組織全体の意識が確実に変化してきているのを感じています。

「More」から見えた本質的な課題:製品貢献度確認アンケートの真意

一方で、課題(More)も明確になりました。私たちが定期的に実施している「製品貢献度確認アンケート」において、改善傾向は見られた一方で、まだ伸びしろもあります。ただ、点数以上に“定性の声”から重要な示唆が得られました。

※このアンケートは、点数そのものを結論にするのではなく、「なぜそう感じたのか」の背景(自由記述)から論点を抽出するために活用しています。

メンバーの声を分析すると、全員が「上流工程からの参画」「一次情報の獲得(顧客や営業・CSの声)」「リリース後の効果検証」を強く求めていることがわかりました。これは「もっと手前の課題定義から関わりたい」「自分が作ったものがどう役立っているのかを知りたい」という、非常に健全で高いモチベーションの表れです。

裏を返せば、要件の解像度を早い段階で揃えきれないまま開発に入ってしまうケースがあり、協働の難易度が上がることがありました。これは個人の能力ではなく、プロセス設計で改善できる課題だと捉えています。貢献実感が得られるのは「偶発的にフィードバックが得られた時」に限られてしまっています。これは個人の能力の問題ではなく、プロセスや仕組みの問題です。メンバーが「もっと製品の成長に寄与したい」と熱望しているからこそ、このアンケート結果は組織が次に乗り越えるべき「プロセス改革」という本質的な課題を浮き彫りにしてくれました。

下期表彰:進化を体現したメンバーたち

このような環境下でも、圧倒的な成果を出してくれたメンバーがいます。 2名の成果をピックアップします。

■AI推進の体現者(シニアPdMメンバー)

一人目は、シニアPdMメンバーによる「AI推進」の圧倒的な成果です。 そのメンバーはバイブコーディング(生成AIを活用したプロトタイピング/実装支援)を活用し、「顧客価値の早期検証」と「AIによる営業DX」を見事に両立させました。自律的なプロトタイプ開発を短期間で行い、開発着手前の仮説検証(ディスカバリー)を強力に主導しました。さらに、属人化していた商談ノウハウをAIで可視化・型化し、組織全体の提案スキルを底上げする仕組みまで構築しました。

ビジネスインパクトとプロダクト成長の両面で、まさに私たちが目指すPdMの理想形を体現してくれました。

■スピードUPの体現者(新卒入社の1年目のデザイナー)

二人目は、新卒で入社して間もないデザイナーによる「スピードUP」への多大な貢献です。

そのメンバーはリリースプロセスの効率化と自動化に果敢に取り組みました。動作確認シナリオの見直しや、並列アップデート化、監視の自動化などを推進し、結果としてマイナーリリース作業全体にかかる時間を約半分まで削減するという驚異的な成果を叩き出しました。

入社年次に関わらず、自らの視点で課題を発見し、プロセスそのものを変革する行動力は、組織全体に大きな刺激を与えてくれました。


次中期方針(変わらない軸と、目指すべき組織の姿)

ここからは未来のお話です。2026年4月から2029年3月末までの次の中期方針についてです。

プロダクト部のMissionとVision

次の中期に向けてはこのようなMissionとVisionを掲げています。

Mission:「プロダクトの機能と活用の価値創出に責任を持つ」 Vision:「プロダクト連携とAI搭載でプロダクト価値を向上させ、売上成長に直接貢献する」

役割と責務や活動領域についてはこれまで変更はありません。 The Product Management Triangle Posted by Dan Schmidt ,Product Logic ラクスのプロダクト部向けにカスタマイズ

戦略ゴールのポイント

2029年3月末に向けてのゴールにおいて、具体的な数値はここでは割愛しますが、重要なポイントは以下の3点に集約されます。

  1. プロダクト間連携の推進:単体のシステムではなく、シリーズ全体でお客様の業務を滑らかに繋ぐ体験を提供します。具体的には二重入力や部門間の手戻りが減り、日々のオペレーションが滑らかになると考えています
  2. エンタープライズ(大口)顧客向け機能の強化:主要サービスにおいて、より大規模で複雑な要件を持つお客様にも満足いただける機能と改善を実現します。
  3. プロダクトへのAI搭載:AIを特別なものではなく、当たり前の機能として各プロダクトに組み込み、お客様の業務効率を飛躍的に高めます。

※詳細は 2026年2月13日 2026年3月期第3四半期決算説明資料 「P.42 次期中計に向けた成長戦略」を参照ください

組織として目指すべき状態:全メンバーの上流への染み出し

これらの戦略を実現するためには、組織のあり方そのものを進化させる必要があります。私たちが目指すのは、以下の状態です。

※これもプロダクト部 組成時から掲げているものと変わりはなし

まず、プロダクト戦略の策定と、その実行(戦術)を主導できている状態です。これは、事業部から降りてきた要件をただ形にするのではなく、デザイナーやPdMが戦略策定の初期段階から関与し、開発組織としての専門的な知見を方針に反映させることを意味します。

次に、製品に対する「解像度」が全社の中で最も高い状態です。営業やCSからのまた聞きではなく、自らお客様にインタビューを行い、一次情報を獲得することで、自分の言葉で顧客の課題を言語化できる組織になります。

そして何より、プロダクト部の全員が製品の成長に寄与していると心から実感できる状態を作ります。定性・定量の両面から、自分の仕事がどう売上や顧客満足度に繋がったかを語れる環境を整備します。

【プロダクト部】役割/責務/活動領域と「UX志向の行動」

プロダクト部は、第一開発統括部のプロダクトマネジメントと、ラクス全体のプロダクトデザインを担うという非常に重要な役割を持っています。私たちの責務は、社内外の関係者と連携し、製品価値を創出・提供し続けることで、お客様の満足と利益を生み出す「循環」を創ることです。そのために最も重要な行動指針が「UX志向の行動」です。

これは継続して変わらない私たちのコアバリューですが、改めて強調させてください。最高のUXを提供するためには、自身の役割や立場にとらわれてはいけません。

顕在化しているニーズをファクトに基づいて把握することは当然として、市場や競合の動向、そして未来の潜在的なニーズに対しても、仮説検証を繰り返して不確実性に挑戦していく姿勢が求められます。安易なトレードオフ(二者択一)に逃げるのではなく、短期的な成果と中長期的な価値の両立(AND)を泥臭く模索し続けること。これこそが、私たちが体現すべきプロフェッショナリズムです。


2027年3月期上期 重点取り組み事項(進化を加速させるアクション)

最後に、今期(2027年3月期上期)の具体的な重点取り組みについてお話しします。

スローガン:「一言」でまとめると

今期の私たちのスタンスは、この一言に尽きます。

「『確かな手応え』と『スピード感』を持ってのプロダクト強化 〜早く価値のあるものを提供します〜」

どんなに素晴らしい戦略も、スピードが伴わなければ意味がありません。お客様が今直面している課題に対して、最速で価値を届け、かつ「それが本当に役立っているか」という確かな手応え(検証とフィードバック)を得ながら進んでいく。これが今期のテーマです。

ここで言う「スピード」は、作業を急ぐことではなく、お客様の課題仮説を置いてから価値検証までのリードタイムを短くすることです。早く届けるほど学びが増えますが、同時に品質リスクも増えます。だからこそ私たちは、検証サイクルを速めつつ、品質を落とさないための仕組み(テスト/監視/レビュー)もセットで強化します。「早い」と「確かな手応え」を両立させる。これが今期のテーマです。

組織体制の大枠

このスローガンを実現するために、組織体制もアップデートします。プロダクトマネジメント課とプロダクトデザイン課をそれぞれ複数課(1課・2課)の体制とし、専門性とアジリティを高めます。現在30名超の組織ですが、今期は体制をさらに拡充しつつ、体制が大きくなってもスピード感を失わないよう、権限委譲と各課の自律的な運営を推進していきます。

各役割で重要視する「AI×上流シフト」

今期、各役割において特に重要視し、徹底的に強化したいのが以下の2点です。

■デザイナー:デザインガイドライン×AIで業務の中心をPdM領域へ

デザイナーには、単なるUIの作成から「体験の設計者」へと完全にシフトしてもらいます。私たちの社内のデザインガイドラインとAIツール(例:Cursor/Claude等)を掛け合わせることで、UIモックアップの作成などの作業工数を劇的に削減します。そして、そこで浮いたリソースの全てを、UXリサーチ、顧客インタビュー、そしてPdM領域(課題定義や要求整理)への染み出しに投資します。AIを駆使することで、デザイナーが事業の意思決定のど真ん中に立つ組織を作ります。

※AI活用の基本的な前提

  • AIの出力は“たたき台”として扱い、最終判断・対外説明は必ず人が責任を持ちます。
  • 個人情報/顧客情報/機密情報は入力しません(必要な場合は匿名化・要約して扱います)。
  • 仕様やリサーチの結論は、一次情報や根拠と突合してから採用します。

■プロダクトマネージャー:PdM×AIでGTMを前提にしたディスカバリーとソリューション提案

PdMには、仕様を決めるだけでなく「どう市場に届けるか」までを担うPMM(プロダクトマーケティング)の視点を強く求めます。ここでもAIを徹底活用し、PRD(要求仕様書)の作成や仕様検討プロセスを「型化」して圧倒的なスピードアップを図ります。その上で、GTM(Go-to-Market)を前提とした仮説検証(ディスカバリー)を行い、プロダクト開発にとどまらない広範なソリューション提案でお客様の課題解決をリードしてもらいます。

※PRD生成は「早く書くこと」自体が目的ではなく、論点の抜け漏れを減らし、仮説検証を速く回すための補助線として使います。AIの提案が置いている前提や根拠が妥当かは、必ず一定レベルの人がレビューします。

実現を目指す3つのプロダクト戦略

デザイナーとPdMが上記のようにAIを武器にして上流へとシフトし、組織としての力を最大化した上で、私たちは以下の3つの大きなプロダクト戦略の実現を目指します。

1. 「エンタープライズ(大口)領域の強化」

(企業が大きくなっても長く利用し続けてもらえるプロダクトへ) 私たちのプロダクトを導入してくださったお客様が、事業を成長させ、企業規模が大きくなったとしても「やっぱりこのシステムを使い続けたい」と思っていただける深い価値を提供します。複雑な権限設定や大規模なデータ処理など、エンタープライズならではの高い要求水準に応えるプロダクトへと進化させます。

2. 「プロダクトへのAI標準搭載及びAIからも利用されるプロダクトへ」

AIはもはや特別な機能ではなく、インフラです。ここで言う「AI」は魔法の自動化ではなく、入力補助・要約・確認などの“細かな手間”を減らして、ユーザーが本来向き合うべき業務に集中できる状態を作るための道具だと捉えています。一方で、生成AIには誤りや意図しない出力のリスクもあるため、業務影響が大きい領域ほど「人の最終確認」「権限」「監査」を前提に、段階的に適用範囲を広げていきます。

プロダクト内にAIを標準搭載し、入力補助・要約・確認など日々の“細かな手間”を減らすことで、お客様が本来向き合うべき仕事に集中できる状態を作ります。さらに将来的には、私たちのプロダクト自体が外部のAIアシスタント/AIエージェントから安全に呼び出され、業務の流れに自然に組み込まれる存在(API化・MCP化)になることも見据えています。そのために、権限管理・監査ログ・レート制限など、エンタープライズ品質のガードレールを前提に設計していきます。また、API化・MCP化は“将来的な方向性”であり、お客様のセキュリティ要件や運用実態を踏まえて検証しながら進めます。  ※MCP(Model Context Protocol)は、AIと外部データ/ツールをつなぐための共通規格の一つで、AIエージェントが外部システムを安全に呼び出すためのインターフェースを標準化する動きです

3. 「統合型ベストオブブリード戦略」

(プロダクト間連携によるお客様の便益や価値向上) 単一の優れたプロダクト(ベストオブブリード)を提供するだけでなく、それらがシームレスに連携し合う「統合された体験」を提供します。例えば、あるプロダクトで入力したデータが自動的に別のプロダクトに反映されるなど、システム間の摩擦を極限まで減らし、お客様の業務全体の生産性を飛躍的に向上させます。


おわりに

プロダクト部が立ち上がってからの1年間は、ゼロから基盤を作り上げる激動の期間でした。そしてこれからの1年は、その基盤の上に「確かな手応え」と「圧倒的なスピード感」をもって、市場に大きな価値を打ち出していくフェーズになります。

私たちには優秀なデザイナーとPdMが揃っており、さらにAIという強力な武器があります。全員が上流に染み出し、顧客の一次情報に触れながら、最高のUXを追求していく。このプロセスを妥協なくやり抜くことで、日本のクラウドサービスで存在感を高められるよう、挑戦を続けていきます。今のラクスでのプロダクト開発は最高に刺激的で面白いフェーズにあります。これからのプロダクト部の挑戦に、ぜひご期待ください。

私たちと一緒に、数年後、数十年後も顧客に愛され、価値を残し続ける最高のプロダクトを作りませんか? 皆さんとお話しできる日を、心から楽しみにしています。本記事を読んで興味を持たれた方は、まずはカジュアル面談からご応募ください。

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